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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0128A01: した▲。三心ざた(沙汰)をさしを(閣)きてうちかたぶ
Z08_0128A02: き。阿彌陀ほとけの。たうとき事どもを思ひしり給へ。
Z08_0128A03: さすが人。木石にあらざればみな心あり。げにまこと
Z08_0128A04: しく。世にこえたる悲願など。おもひつ▲けむに。たれ
Z08_0128A05: かはたのもしとおぼえざらん。たのもしとだにも思
Z08_0128A06: ひし(染)めぬ(畢)れば。往生はしつべくおぼゆるもの
Z08_0128A07: ぞ。さてのち心をさぐり見給へ。三心はいとよく(最能)
Z08_0128A08: 具足し侍りなん。(四〇)たとへばつかれたりしつは
Z08_0128A09: もの(兵)の。梅のすき(酸)事をき〻て。(ノンド)うる(潤)ひわた
Z08_0128A10: (亘)りしがごとく。佛力のいみじき事をきくより。決
Z08_0128A11: 定往生の安心はす〻むものなり。(四一)さればかまへ
Z08_0128A12: ていくたびも。本願のたのもしかるべきいはれを。き
Z08_0128A13: (聞)きもし案(思)じもしたまへ。かくてやう〱な(狎)
Z08_0128A14: れもてゆかば。自然に心にそ(染)み侍るべし。(四二)
Z08_0128A15: かの泰山のした▲りの。石をうが(穿)つは。しかしなが
Z08_0128A16: (〓ン)()のいたす所ぞかし。この願海のなみ(波)に信を
Z08_0128A17: すまさん事も。又染習いかでかむなしからん。(四三)
Z08_0128A18: た▲物はいさ〻かなれども。つねに功をつむが大切
Z08_0128A19: に侍る也。(四四)すべて人の心のならひとして。なる
Z08_0128A20: ればその物になる事は。これのみにしもあらざ
Z08_0128B01: り。(四五)
Z08_0128B02: (ヲンナ)のこゑにて往生は一()の大事にて。二たびしな
Z08_0128B03: をすべき事にもあらねば。かまへてと。(四六)びんぎ
Z08_0128B04: (便宜)の聽聞をもすごさず。(四七)心にかけて思ひなれ
Z08_0128B05: ぬるしるしに。(四八)いまはだいじ(大事)さりとも
Z08_0128B06: と。たのもしくはおぼえながら。さすがはれ〲とは
Z08_0128B07: なくて。(四九)又いかなるおり(時)やらんは。さても
Z08_0128B08: いか▲と。きものつぶる〻事もあるは。なをうたがひ
Z08_0128B09: ののこりたるにや。露も心なをき(勿置)そとこそ侍る
Z08_0128B10: なるにといへば。(五〇)
Z08_0128B11: 答へていはく。いまだしてみぬ往生の。いか▲おぼつ
Z08_0128B12: かなからでもあらむ。(五一)又かまへてと。おぼゆる
Z08_0128B13: 事は。心ゆるひず。(不緩)あつかはしきま〻に。ふと。
Z08_0128B14: (不圖)むねつぶ(心潰)る〻事も。思ひいづるならひな
Z08_0128B15: り。これはいさ〻かも。きも(氣肝)す(過)ぎておもほ
Z08_0128B16: (御念憶)し。とがむべからず。(五二)すべ(摠)ていかなる
Z08_0128B17: ものも。すてられずといふを。本願にあて〻あやぶ(危)
Z08_0128B18: むこそうるは(善)しきうたがひにては侍れ。(五三)佛
Z08_0128B19: のちかひをば。ひし(必至)とたのみながら。されば往
Z08_0128B20: 生はしなんやと。わが身のうへにあてが(擬)ふおり。

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