ウィンドウを閉じる

Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0130A01: これは。われらが瞋恚の心にたとふ。
Z08_0130A02: きたに。水の河ながれたる。(七五)
Z08_0130A03: これは。われらが貪欲の心にたとふ。
Z08_0130A04: なかをわたりて。いさ〻かのしろきみち淸淨ノ義也あり。
Z08_0130A05: これは。われらが貪瞋煩惱の。ひまもなきなかに。
Z08_0130A06: まれ〱往生を。ねがふ心のおこるにたとふ。
Z08_0130A07: その二の河のおほさきは。そこフカサナリもなく又ほとり
Z08_0130A08: ヒロサナリもなし。
Z08_0130A09: これは。われらが貪瞋の。をびた▲しく。ふかくけ
Z08_0130A10: はしきにたとふ。
Z08_0130A11: このしろきみちのひろさは。わづかに四五寸ばかり
Z08_0130A12: なり。
Z08_0130A13: これはわれらが往生をねがふ心の。よはくすく
Z08_0130A14: なきにたとふ。
Z08_0130A15: あし(足)ふ(踏)みたてんほどだにも。あるかなきかの
Z08_0130A16: みちなれば。た▲をしなべて河貪瞋とのみ〻えたり。
Z08_0130A17: つや〱わたりえつべき心ちもせず。いはんや。なみ
Z08_0130A18: 妄念はひまもなくたつ。みちはいつとなくうづもれ
Z08_0130A19: がちなり。いづくをか。あしにもまかせん。いかでか
Z08_0130A20: わたらんともおもひよりける。わたらば。さだめてし
Z08_0130B01: (死)ぬべしと。おく(臆)しはて〻ゐたれば。オソルル義也
Z08_0130B02: これは。貪瞋のふかきにくらぶれば。願心は。さら
Z08_0130B03: にあるにもあらず。まして妄念のひまなきにさ
Z08_0130B04: またげられて。往生の心ざしたゆ(怠)みがちなれ
Z08_0130B05: ば。いづかたにつけても。いと▲かなはじと。お
Z08_0130B06: それ。ひげ(卑下)せらる〻にたとふ。
Z08_0130B07: ひんがしのきしに。人のこゑありて。釋尊入滅シ給ヒテソノ敎ノミ世ニアル
Z08_0130B08: ハコヱノゴトシた▲そのみちをわたりてゆけ。くるしくはあ
Z08_0130B09: らじとす〻め。
Z08_0130B10: これは釋迦のお(を)しへの。往生をす〻むるに
Z08_0130B11: たとふ。
Z08_0130B12: にしのきしよりは。又。た▲きたれ。われよく汝をまほ
Z08_0130B13: れば。みちほそくとも。水火の河にはおとすまじきぞ
Z08_0130B14: と。よば(呼)ふをと(音)するなり。
Z08_0130B15: これは。彌陀の本願。ちからをくはへて。われら
Z08_0130B16: が往生をたすけ給ふにたとふ。
Z08_0130B17: これをき〻て。さらばとおもひたつ。みちはあやう
Z08_0130B18: けれども。ひたすらこ〻(此)釋迦にや(遣)り。かしこ
Z08_0130B19: (彼)彌陀によば(喚)ふしるべ(指南)ばかりをたのみ
Z08_0130B20: にて。二つの河をかへりみず。わたるほどに。(七六)

ウィンドウを閉じる