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J3060 浄土宗史 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0684A01: 如法之至法賊之一人難遁候然二十年以上之僧者
J20_0684A02: 寺院住職之法﨟候間未相傳之僧者豫得其意古法
J20_0684A03: 之通漸漸御附法可被致成就候
J20_0684A04: とあり。當時既に化他五重は璽書布薩相承以上の住
J20_0684A05: 職者には一種の權利たるのみならず。又其義務とな
J20_0684A06: りしを見るべし。然れども當時は尚受者の選機に關
J20_0684A07: して嚴重なる規定を有せり。即同年同月の觸書に。
J20_0684A08: 一、寺院對在家化他五重結縁相承之儀者別而正德
J20_0684A09: 六申年定法之通選老輩之信男信女壹ケ年之内
J20_0684A10: 不可過二三輩事附布薩血脈授與之儀者尤不
J20_0684A11: 及相承唯雖結縁授與而已候是亦選信心男
J20_0684A12: 女猥不可令授與之
J20_0684A13: とあり。併かかる制令の發せらるるは畢竟當時既に
J20_0684A14: 選機の濫雜に赴けるを證するものならずんばあら
J20_0684A15: ず。
J20_0684A16: 總錄所に於ける布敎政策は。渾て消極的にして弊
J20_0684A17: 害の防遏に忙殺せられ。積極的に奬勵指導するは甚
J20_0684B18: 稀なりしも。又全く此等のことなかりしに非ず。即寬政
J20_0684B19: 三年正月發布されたる助説如法觸十一箇條の如き其
J20_0684B20: 一例にして。説法敎化者心懸を訓示して親切叮嚀を
J20_0684B21: 極む。然れども檀林の性質が布敎には極めて冷淡
J20_0684B22: なりしかば。錄所の制令が多く消極的たりしは已む
J20_0684B23: をえざる所なり。故に民間布敎は錄所に關係なく。
J20_0684B24: 名利の奴隷たる官僧に頓著なく。所謂捨世隱遁者に
J20_0684B25: よりて開拓し充實せられたり。即奧羽の無能。尾張
J20_0684B26: の關通。防長の大日比三師。伊豫の學信。紀伊の德
J20_0684B27: 本。三河の穩冏。德住の如き。地方に牢として拔くべ
J20_0684B28: からざる宗門信仰の基礎を定めたり。其他各地に於
J20_0684B29: ける著實なる信仰が。孰れも此等捨世隱遁者の感化
J20_0684B30: に負ふ所多きは注意すべき事項ならずんばあらず。

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