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J3060 浄土宗史 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0646A01: 他檀林に於ては上讀法問なく。下讀法問のみなるが
J20_0646A02: 故に。其席名も下讀法問に從ひ縁輪席なし。而して人
J20_0646A03: 數少ければ其昇進も比較的容易なりしこと勿論なり。
J20_0646A04:
J20_0646A05: 第六章 講 學
J20_0646A06:
J20_0646A07: 檀林は本宗僧侶の養成所にして。洒掃進退應酬よ
J20_0646A08: り宗侶として日常必須なる訓練を與へ。勤行作法等
J20_0646A09: の法式行儀の修習に力めしむる等。單に學問研究を
J20_0646A10: 目的とせざるは勿論なるも。而も檀林の主なる目的
J20_0646A11: が宗餘乘内外典の敎授研覈により。宗侶の智解を啓
J20_0646A12: 發するにありしことは。其所化の寓居を學寮と呼び。
J20_0646A13: 三席を學席と稱し。大衆の首座を學頭と名けしにて
J20_0646A14: も知るべきのみならず。檀林創定の當初に於ては。
J20_0646A15: 潑溂たる生氣談場に橫溢し。智辯無窮の達士を輩出
J20_0646A16: したりしも。中古以來徒らに入寺の年﨟によりて座
J20_0646A17: 席の進退を決するに及び。學問知識の淺深は更に其
J20_0646B18: 用を爲さざるのみならず。機械的形式的の學席には
J20_0646B19: 却て障害と成るの奇觀を呈し。眞面目なる研究攻學
J20_0646B20: は地を拂ひて空しく。檀林に於ける學問は單に空名
J20_0646B21: 虚聲に過ぎざるに至れり。然れども一宗の生命は斯
J20_0646B22: の如くにしてよく保持せらるべきに非ず。玆に於て
J20_0646B23: か檀林以外にありて鋭意宗餘乘を研覈する一派の學
J20_0646B24: 者を輩出せり。德川時代就中其中葉以後の宗學は。
J20_0646B25: 檀林よりも寧此等の特志家によりて維持せられ發揮
J20_0646B26: せられたり。吾人は先づ檀林に於ける學問の狀態を
J20_0646B27: 述べ。次は檀林以外の特志家の研究に及ぶべし。
J20_0646B28: 一 檀林の學問
J20_0646B29: (一) 學寮
J20_0646B30: 檀林學問の根據は學寮にあり。學寮は本と衆寮と
J20_0646B31: 稱し學生の宿泊所なると同時に日常の學問修養所な
J20_0646B32: り。學寮には寮坊主或は學寮主或は單に寮主と稱す
J20_0646B33: る者ありて。其寮菴の大衆を統率し之が敎育の任に
J20_0646B34: 膺る。故に寮主は相當の能力ある者ならざるべから

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