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J3060 浄土宗史 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0641A01: 之事。即ち十三年以上は權上人綸旨拜戴するをうる
J20_0641A02: に至れり。此の制規は一般には遵守せられたるも。
J20_0641A03: 下谷幡隨院だけは開山の意樂とて。晩年僧の爲に一
J20_0641A04: 層短年月にて拜綸の手續をなしたりと云ふ。
J20_0641A05: (二) 添狀と執奏 以上の年﨟に達すと雖も。所屬
J20_0641A06: 檀林及增上寺の能化職の兩判の副狀を備へざれば。
J20_0641A07: 本山之を執奏すること能はざること上述の如し。
J20_0641A08: (三) 謝金 綸旨を頂戴するには謝金を要すること元
J20_0641A09: 和條目にも見ゆ。足利幕政の中葉以後。朝廷公卿の
J20_0641A10: 式微甚しく。爲に紫香上人並に敕願所の綸旨を賜ひ
J20_0641A11: て。僧侶より報謝金を納めしめて辛うじて調度の補
J20_0641A12: 足とし給ひしが故に。敕願所並に紫香上人の綸旨荐
J20_0641A13: りに濫受せられしか。德川幕府に至りては寺院僧侶
J20_0641A14: の資格を制限し。此資格を具備するに非れば朝廷に
J20_0641A15: も濫受なき樣禁中法度を以て之を規定し。且報謝金
J20_0641A16: にも一定の額を規定して其以外の收歛を禁じたり。
J20_0641A17: 即同條目第二十四條に。出世之官物之事綸旨之分銀
J20_0641B18: 子二百文目參内之分五百文目若爲兩樣同時者七百
J20_0641B19: 文目相定上者不可論米糓之高下事と規定し。綸
J20_0641B20: 旨拜戴のみなれば銀二百文目を奉献し。參内して之
J20_0641B21: を頂戴する場合には更に五百文目を增すのみにて足
J20_0641B22: りしが如きも。後には宮門跡に對する帽子料等諸雜
J20_0641B23: 費を合して。十五兩前後の大金を要し。特に參内す
J20_0641B24: る場合は旅費宿泊料の外莫大の報謝料を要したりと
J20_0641B25: 云ふ。
J20_0641B26: (四) 開衣式 香衣綸旨頂戴の上は直に香衣を被着
J20_0641B27: しても可なるべく。又享保十二年以後は直に被着を
J20_0641B28: 許されたるも。其以前には知恩院に於て開衣式と稱
J20_0641B29: すること行はれ。此式を擧行したる後に非ざれば被着
J20_0641B30: を許されざりしこと上に述ぶる所の如し。
J20_0641B31: (五) 拜綸者數 香衣上人綸旨頂戴には種種の困難
J20_0641B32: なる規定と。復雜なる手續と。多額の報謝金とを要
J20_0641B33: せしが爲め。寬永正保年中迄は。之を頂戴する者
J20_0641B34: 甚稀にして。三都以外の田舍にては。一國辛く兩三

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