ウィンドウを閉じる

J3060 浄土宗史 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0639A01: 此の規定すら增上寺にては或程度まで守られたる
J20_0639A02: ならんも。他檀林にては果して如何なりしか疑はし
J20_0639A03: く。旦つ特殊なる人物に對しては此の年限も適用せ
J20_0639A04: ずして。隨宜五重兩脈の相傳を許されたるが如し。
J20_0639A05: 即ち德本は享保三年江戸に來り。傳通院に於て其の
J20_0639A06: 冬十二月兩脈を相傳せられたりと云ひ。又關通は可
J20_0639A07: 圓と相謀り生實大巖寺貫主良義に請ひ。普寂の爲め
J20_0639A08: に宗戒兩脈の譜を傳授せられたりと云ふ。這は極端
J20_0639A09: なる二特例なるも。此等の特例に倣ひ。多くの除外
J20_0639A10: 或は特別扱の之ありしは想像するに難からず。現に
J20_0639A11: 余が郷國に於ける頃古老の物語には。江戸加行は三
J20_0639A12: 年なりしと聞けり。さればにや前制條の後書には。
J20_0639A13: 右三個條向後嚴重に法制相立候樣被仰出候御趣
J20_0639A14: 意は於諸國不如法之僧初て檀林所に致登山僅
J20_0639A15: 一兩年を經て兩脈相承致し直に綸旨頂戴之僧も間
J20_0639A16: 間有之趣粗相聞種種差障候筋有之悲歎至極に被
J20_0639A17: 思召候依之右之趣諸檀林一統に嚴制相立候樣有
J20_0639B18: 之度思召に付當正月八日會談之節被仰出則檀
J20_0639B19: 林方評議之上右之御趣意諸山一同後來堅相守可
J20_0639B20: 申旨評決有之候前書之趣今般格別之御趣意を以
J20_0639B21: 被仰出候間寮主之面面其旨被相心得候樣三谷え
J20_0639B22: 御觸可被成候以上 寬政三亥年四月
J20_0639B23: とあり。前條五重三年兩脈七年制の由りて來る理由
J20_0639B24: なるも。他檀林に於て果して永く此定制を遵守せざ
J20_0639B25: りしは明なり。
J20_0639B26: 五重兩脈がかく年限を短縮せられ其の傳受を急が
J20_0639B27: れしに反し。布薩璽書の傳受許可は左まで急がれざ
J20_0639B28: りしのみならず。往往之れを受くるを欲せざる傾向
J20_0639B29: を生ぜり。故に享保十八年十月縁山在籍の所化及び
J20_0639B30: 府内の寺院に對し。法﨟滿二十年以上の者は必らず
J20_0639B31: 璽書布薩を相承すべく。若受くることを得ざるもの
J20_0639B32: は事由を屆出づべしと觸れられたり。其の所化に對
J20_0639B33: するものは左の如し。
J20_0639B34: 法﨟滿二十年之僧者如古來定法璽書布薩相承

ウィンドウを閉じる