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J3060 浄土宗史 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0624A01: られたるとともに。異例の轉昇なるも。その前後に
J20_0624A02: 於ては殆んどかかる例なく。香衣檀林以上は渾べて
J20_0624A03: 法臘席を以て昇進し。全く破格の超越を見ず。是れ
J20_0624A04: 非望不逞の徒の跳梁を防止し。秩序平和を維持する
J20_0624A05: には適當なる制度なりしならんも。非凡卓拔なる人
J20_0624A06: 士の隱遁離山を促し。宗門の要衝を以て凡骨鈍才の
J20_0624A07: 橫行に委し。一宗を沈滯不振ならしめたること。下
J20_0624A08: に述ぶる學席昇進制度と共に非常に大なりき。
J20_0624A09: (四) 引込紫衣地 紫衣檀林が本山錄所の極位に出
J20_0624A10: 世すべき前途の冀望多き寺院なるに反して。金戒光
J20_0624A11: 明寺・淸淨華院・知恩寺・大樹寺・寶臺院・天德
J20_0624A12: 寺・誓願寺の七箇寺は。格式に於ては本山或は菩提
J20_0624A13: 所にして紫衣地たるを以て。前紫衣檀林に勝るとも
J20_0624A14: 劣ることなかりしも。其の處を以て出世の終局と
J20_0624A15: し。轉進して本山錄所に榮轉するの望なく。恰かも
J20_0624A16: 菩薩が二乘地を畏忌したるが如く。香衣檀林能化者
J20_0624A17: は非常に之を嫌忌し。其當選を免るるが爲に種種苦
J20_0624B18: 心せり。引込紫衣地の引込の文字の如きも。隱居閉
J20_0624B19: 門等と同じく甚だ好ましからず。之を嫌忌するもの
J20_0624B20: の附與せる稱なるが故に。德川氏より之を見れば洵
J20_0624B21: に敬意を失へる稱呼なり。
J20_0624B22: かく引込紫衣地住職に任命せらるることは。香衣
J20_0624B23: 檀林能化者が難有迷惑。否甚だ苦痛に感ずる所なれ
J20_0624B24: ば。種種の苦肉策を設け。これを逃れむと試みたる
J20_0624B25: 例少からず。天明六年十二月駿府寶臺院の無住とな
J20_0624B26: るや。幕府は江戸崎大念寺奚疑を後住に擬して出府
J20_0624B27: を命ぜしに。奚疑中途其由を知り病と稱して江戸崎
J20_0624B28: に還りしかば。幕府之を罸し隱退を命じ。さらに川
J20_0624B29: 越蓮馨寺祖秀を寶臺院住職に命じたることあり。ま
J20_0624B30: た文化八年七月淸淨華院の無住となるや。本所靈山
J20_0624B31: 寺秀海に後住を命ぜられしも。曾て增上寺に於て役
J20_0624B32: 僧を勤めたるものは。引込紫衣地に推薦せられざる
J20_0624B33: 慣例ありと主張して命に從はず。時の增上寺役者祐
J20_0624B34: 海在歡もこれに雷同せしが。幕府はその理由なきを

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