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J3060 浄土宗史 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0594A01: して華頂宮と號したまひ。知恩院宮玆に廢絶す。宮
J20_0594A02: 門跡は。知恩院正住職にして。また淨土門主なれ
J20_0594A03: ば。一宗の統領首腦に在はせども。實際の權力は關
J20_0594A04: 東總錄所の占有するところなるのみならず。知恩院
J20_0594A05: が有する實權實務も。元和條目第一條に規定せる如
J20_0594A06: く。脇住持の掌中にありて。唯だ重要なる法會の導
J20_0594A07: 師として大殿に出勤し。參詣の男女に十念を授與し
J20_0594A08: たまふのみ。また幕府の供給せる經費も。甚だ輕少
J20_0594A09: なりしかば常に不足勝なり。ゆゑに近古領帽許可の
J20_0594A10: 制を設け。其の報謝を以つて宮の經費の不足を補ひ
J20_0594A11: たりと云ふ。
J20_0594A12: かく宮門跡は。淨土門主にして一宗の統領たるの
J20_0594A13: みならず。又知恩院の正住職にして。從來の住職は
J20_0594A14: 脇住持と稱し。門主補佐の副住職に過ぎざるの觀あ
J20_0594A15: れども。知恩院に於ける實際の事務。即ち引導佛事
J20_0594A16: 等は總て此の脇住職の司どる所なるのみならず。世
J20_0594A17: 世の門主は何れも時の住職に就き受戒せられ。法門
J20_0594B18: の上に於いては弟子なるが故に。實際の權力は却つ
J20_0594B19: て副住職にありしなり。
J20_0594B20: 滿譽尊照は。知恩院中興の碩德として。僧正法印
J20_0594B21: に叙せられしも。大僧正に非らざりしが如し。然る
J20_0594B22: に寶永四年九月三日四十三代應譽圓理の大僧正に叙
J20_0594B23: せられてより。二三の例を除き。歷代の住職大僧正
J20_0594B24: に叙せられ。緋衣を被着し。宗の内外に於ける名譽
J20_0594B25: 無比なりしも。之を增上寺の住職に比するに。京都
J20_0594B26: 公卿の江戸大老に對する如く。其の實際の權力威望
J20_0594B27: 到底同日の談に非らず。故に礫鎌兩山より知恩院に
J20_0594B28: 轉昇する者は。之れを謫還として嫌忌したりと云
J20_0594B29: ふ。
J20_0594B30: 又知恩院通常の事務は。元和條目第二條に規定せ
J20_0594B31: る如く。京都門中に於ける法﨟器量優越せる者六人
J20_0594B32: を選び。之れを六役或六老僧と稱し。此等と山内塔
J20_0594B33: 頭の役者兩人との司管する所なり。
J20_0594B34: 知恩院に於て取扱へる事務の最重大なるものは。

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