浄土宗全書を検索する
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| 巻＿頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J20_0493A01: | じて悔いざる底のものならざりしは察するに難から |
| J20_0493A02: | ず。 |
| J20_0493A03: | 彼が宗祖に隨從すること。廿三年なれば。時日短 |
| J20_0493A04: | しとすべからざるも。宗祖晩年の門弟として。諸宗 |
| J20_0493A05: | の敎義に於ては餘り多く敎授を蒙ること能はず。故 |
| J20_0493A06: | に宗祖滅後に至りて。當時天台學匠たりし日野（後 |
| J20_0493A07: | 河内國太子御廟の處に住せしと云ふ）願蓮に從ひて |
| J20_0493A08: | 天台宗を研究したり。彼の敎義が天台的色彩に富む |
| J20_0493A09: | は之が爲なりと云ふ（淨土源流章）。或宗脈に『太子墳 |
| J20_0493A10: | 陵立三重雁塔被始置法華問答講舍利講定置於結 |
| J20_0493A11: | 番僧令勤行不斷念佛』とあり。太子墳陵とは河内 |
| J20_0493A12: | 國南河内郡（元石川郡）磯長太子陵にして。源流章に云 |
| J20_0493A13: | ふ證空の天台の師。願蓮の後に住せし所なり。此の |
| J20_0493A14: | 説といひ。上揭の三大部開版の宿願を有せしといひ。 |
| J20_0493A15: | 又先亡の爲めに毎月十五日に廿五三昧を修し。入寂 |
| J20_0493A16: | に先ち天台大師講を修行したり（行狀畫圖）とのことを |
| J20_0493A17: | 合せ考ふるに。彼が願蓮に私淑し。宗祖滅後天台の |
| J20_0493B18: | 宗風に影響せられたること大なりしは諍ふべから |
| J20_0493B19: | ず。 |
| J20_0493B20: | 彼後には小坂洛東綾小路末に居り宗風を弘通せしによ |
| J20_0493B21: | り。小坂證空。小坂義の名あり。或宗脈によるに。 |
| J20_0493B22: | 西山善峰寺北尾往生院（後三鈷寺と稱す今天台宗に |
| J20_0493B23: | 屬す）を復興し。塔堂經藏鐘樓食堂溫屋坊十餘宇を |
| J20_0493B24: | 建立し。古佛新佛影像等聖容數十餘體を修覆し。四 |
| J20_0493B25: | 箇の行法を始めたりと云ふ。後世彼を西山善慧房西 |
| J20_0493B26: | 山上人と云ひ。彼流義を西山義。西山流と稱するは |
| J20_0493B27: | 之が爲なり。尚同宗脈に。彼は白河歡喜心院に三重 |
| J20_0493B28: | 塔を立て。二階連舍（長屋歟）を造り。京東南（東福 |
| J20_0493B29: | 寺門前。後一條北廬山寺南に移る）に遣迎院を立て。 |
| J20_0493B30: | 坊舍等を建造し。攝津國武庫川に橋を架し。又同所 |
| J20_0493B31: | に淨橋寺を立て。又當麻曼陀羅數十鋪を圖繪して。 |
| J20_0493B32: | 善光寺已下諸所の道場に施入し。五部大乘經。天台 |
| J20_0493B33: | 六十卷。淨名。涅槃等疏。梵網經。同義疏。顯揚論。顯 |
| J20_0493B34: | 揚大戒論等の印版を開彫せりと云ふ。是等諸種の事 |