浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J20_0476A01: | れしも。皇圓の切なる諫止により暫く交衆生活を續 |
J20_0476A02: | けられたるも。益其醜汚に堪ふること能はずして這 |
J20_0476A03: | 回の隱遁を斷行せられしなり。 |
J20_0476A04: | 叡空は。大原良忍上人の高弟にして。圓頓戒の嫡 |
J20_0476A05: | 統を受け。又其融通念佛をも相承せられたるべく。 |
J20_0476A06: | 其他眞言秘密の法にも精通して。當時叡山にては學 |
J20_0476A07: | 德兼備の英匠として名聲甚高かりし人なり。宗祖は |
J20_0476A08: | 戒體の色心。念佛の觀稱等の問題に關して。彼と意 |
J20_0476A09: | 見を異にし。屢屢激論を交へられしことあり。其他 |
J20_0476A10: | にも學問上には意見の相違せる點少からざりしも。 |
J20_0476A11: | 其德操に於ては深く信賴せられたり。叡空また宗祖 |
J20_0476A12: | を益友良伴として之を好遇し。宗祖が山上に在住の |
J20_0476A13: | 間は。常に生活の資糧を供給して。求道に專注する |
J20_0476A14: | ことを得せしめたるが故に。物質精神兩面に於て宗 |
J20_0476A15: | 祖の恩人なり。 |
J20_0476A16: | 叡空は。宗祖が其庵に來れるを歡迎し。其道心の |
J20_0476A17: | 切實なるを感歎して。房號を法然。諱を源空と命名 |
J20_0476B18: | せり。蓋源空の源の字は叡山に於ける最初の師源光 |
J20_0476B19: | に取り。空の字は叡空自己に取れりと云ふ。爾來孜 |
J20_0476B20: | 孜として聖敎を披閲し。時時瞑目思索し。時に叡空 |
J20_0476B21: | と論談して。年を黑谷に過ごされしも。未だ安住の |
J20_0476B22: | 地を發見するに至る能はず。 |
J20_0476B23: | 二十四歳以後。南都北京に於ける諸宗の碩學を歷 |
J20_0476B24: | 訪して。家家の信行を敲く。即法相宗には南都興福 |
J20_0476B25: | 寺の藏俊僧都を。三論宗には醍醐寺の寬雅權律師を。 |
J20_0476B26: | 華嚴宗には仁和寺の慶雅法橋を訪ふ。此等の人人孰 |
J20_0476B27: | れも自家の蘊奧を披歷して之を示せるも。宗祖の求 |
J20_0476B28: | めらるる所と吻合するものなかりき。其他律宗の中 |
J20_0476B29: | 河寺の實範上人に諮決せられたりと傳へらるるも實 |
J20_0476B30: | 否定かならず。かく叡山山外の諸宗の高僧を歷訪の |
J20_0476B31: | 結果も餘り得る所なかりしかば。又も黑谷に歸り報 |
J20_0476B32: | 恩藏(經藏)に入りて。金典祖賁を研覈し。自己の |
J20_0476B33: | 求むる所を自己に發見するの外途なきを覺悟した |
J20_0476B34: | り。 |