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J2980 深川霊巌寺志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0267A01: 事をせん唯此奇兒を得んと和尚是を免さる師和尚の
J20_0267A02: 命やむを得すして是に隨ふ幼禪の擧動夷倫に傑出和
J20_0267A03: 尚これより益其器を重んし力をつくして提携すしか
J20_0267A04: れとも寺務蝟集凾丈にいとまなきを患とし高弟珂碩
J20_0267A05: 職上座に居故に師に命して煆煉を受しむ内藤公の室
J20_0267A06: 鐘愛甚渥く恩施其豐華を極む明曆丁酉大火時師奮起
J20_0267A07: し碩師を求め肩にして去もとより先布を衣糲を食己
J20_0267A08: を捨人を惠む事天性に出萬治己亥師年廿五潜に叢林
J20_0267A09: を出修練の地を求杖笠の外擕る所なし先江島巖穴に
J20_0267A10: 入斷食修法三七日白蛇の窟中に蜿蜒するを見其長丈
J20_0267A11: 餘是より諸州を廻歷名山勝區足跡殆徧中間蓬頭垢面
J20_0267A12: 破衲敝履風飱露宿備に百苦す時に一二の同志ありて
J20_0267A13: 般舟會を建んと請しかは錫を京南川勝寺村にとどむ
J20_0267A14: 尅期九旬その志を果んとせらるる時月餘にして不平
J20_0267A15: の事により師さりて足を山科の安祥寺に疊み跡を嵯
J20_0267A16: 峨の嵐山に晦す行業愈愈峻にして脇席を沾さず目睫
J20_0267A17: を交へず菲衣疏食時に或は繼ざれども是に處る事泰
J20_0267B18: 山の如し己を修るに純純として門を杜て客を謝とい
J20_0267B19: へとも道香掩ふ事なきを以て歸向するもの甚多し或
J20_0267B20: は粮を千里につつみ或は雪に深更に立寬文四甲辰山
J20_0267B21: 科竹鼻村に庵を卜土田を香燈に充人其居を稱して圓
J20_0267B22: 信寺と名く居る事一榻慮を凝逆旅を經がごとく孤笻
J20_0267B23: 瓢然として匏繫せず始靈巖寺に有し日膠漆を結ふ者
J20_0267B24: 各各一方に住泉南寶泉寺主乘譽も其一なり一日師に
J20_0267B25: 語て云河内國安宿郡玉手山安福寺は行基大士の開創
J20_0267B26: 其山後二上に倚前石川に臨み林巒殊絶泉石秀潤有道
J20_0267B27: 者の窟宅とすべき所なり年を經の久しき寺廢路雍り
J20_0267B28: 艸莾欝翳人みな是を惜む師の度量此廢を起すべきや
J20_0267B29: と師忻然として宿約有がごとく遂に此山に至り起廢
J20_0267B30: を任とし朽壞を闢き榛薉を翦り澮溝を決り伏流を導
J20_0267B31: き散じて疎林とし洄して淸地とす其寥廊泓渟造物者
J20_0267B32: の始て淸濁を判が如し是寬文六丙午年なり其平處に
J20_0267B33: 就締構小廬僅に膝をいるべし雲に臥し月に步しみ
J20_0267B34: づから其業を樂み慶弔齋會席に預らす徜徉逍遙し殆

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