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J2980 深川霊巌寺志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0268A01: と人世を忘るる時時詩歌を賦し其志を伸居は啇山の
J20_0268A02: 跡を踵き僧は廬岳の風を傳の句あり人至れば崇庳長
J20_0268A03: 幼となく一に誠を以て待す故に農人樵子賈豎僕童の
J20_0268A04: ごときも亦皆其德に薰染し心を淨業に歸す同十庚戌
J20_0268A05: 春佛殿を山の西偏に落す莊嚴輪奐天降地涌の如し
J20_0268A06: 像設華旛諸供具一も闕る者なし翌年十二月朔日徒を
J20_0268A07: 擇ひ規を立て不斷念佛會を啓く爾より説法行懺鐘梵
J20_0268A08: 常に響き四方緇素風に嚮事水の壑に趣き雲の岫に歸
J20_0268A09: るがごとし延寶七己未年五月洛西木辻村なる護念庵
J20_0268A10: の廢を起し念佛寺と名づく同八庚申春玉手山にて西
J20_0268A11: 偏の堂宇を東偏にうつす經房僧舍鐘樓厨倉門廡に至
J20_0268A12: るまで次第就緖す始興刹の時佛殿將に功を竣へんと
J20_0268A13: するに斷崕崩隕し甍擔を毀傷す隨築は隨て崩る一
J20_0268A14: 衆いかんともする事なし師山麓の古廟に詣し祈て云
J20_0268A15: 吾儻ここに縁あらば願くは爲に力を加へて此難なか
J20_0268A16: らしめよと禱願むなしからず營造速に成る故新に神
J20_0268A17: 祠を建て鎭護とす今の牛頭社是なり是より先陰雲凝
J20_0268B18: 閉の夜往往鬼哭地燃あつて人を驚悸せしむ師の居に
J20_0268B19: 及びて妖遂に息む尾張大納言光友卿師の德風を聞き
J20_0268B20: 數數徴し接見其對揚肎梁に中るを以深く蓮門に歸し
J20_0268B21: 親く宗訣を受て弟子の禮をとる師瑞龍院順譽源正の
J20_0268B22: 號を立府第に至るごとに慰勞慇懃錫賚使蕃なり故に
J20_0268B23: 夫人諸公子塵鄙暴牌の屬に至るまで磬折し忱を傾け
J20_0268B24: ずといふ事なし公自の壽像を玉手山中に設腴田二千
J20_0268B25: 畝を割て食輪を資く彥根侯井伊家の宰輔木俣土佐
J20_0268B26: 守安久久しく佛家に歸すと雖も常に明師に逢ざるを
J20_0268B27: 慨く一日伊勢兩宮に詣心にひそかに是を祈り歸路宇
J20_0268B28: 治橋を渡るの時師に逢その氣宇常にあらさるを見傾
J20_0268B29: 蓋道を問神助實ある事を喜び簡牘案に堆く招請頻繁
J20_0268B30: なり黄金若干を玉手山に捨し又辟支佛の牙楚石禪師
J20_0268B31: の書賛慈覺大師彫西方の三聖像并に寶襲とする所の
J20_0268B32: 書畵重器施して萬代の鎭とす佛牙は成藏主入吳所得
J20_0268B33: 也元祿七甲戌秋碩和尚武藏國奧澤淨眞寺にて病に臥
J20_0268B34: 師馳往掖侍碩公感志し諸徒に告て云憶老世に在我と

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