浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J20_0174A01: | よろこはしきかな此謝恩には別にささけん者なし近 |
J20_0174A02: | き所の三俣の深淵を島となすべし其の所に寺を建立 |
J20_0174A03: | し衆生を濟渡し給ふべしと忽ち白虵と變して立去り |
J20_0174A04: | ぬやがて其の所に島出來しかはあやしかりけるにぞ |
J20_0174A05: | 鬼島と名け里人と共に寺を建無著山龍藏寺とぞ名付 |
J20_0174A06: | らる此所にて遠近の男女を敎化せられける事幾千萬 |
J20_0174A07: | と云ふ事を知らす其後又も童女來りて禮をなし言け |
J20_0174A08: | るはわれ既に遠からすして苦海を渡るべけれは子孫 |
J20_0174A09: | をして此島を守らしむべし上人は普く諸國を修行し |
J20_0174A10: | 利益をかさねられなは三國傳來の佛身を得らるべし |
J20_0174A11: | と言ひ畢りかきけす如くうせけるにぞ上人此旨にま |
J20_0174A12: | かせ行脚し或國にては七日十日つつ説法度生せられ |
J20_0174A13: | けるに一とせ尾張國熱田に至り三七日説法の事あり |
J20_0174A14: | けるには天花ふり紫雲腌けるとなん此時大宮司範親 |
J20_0174A15: | いささか罪ありて蟄居籠舍しありしかは上人にまみ |
J20_0174A16: | へさるを悲みけるに上人遙かに行き十念を授け給ふ |
J20_0174A17: | に罪得し事共をのべ哀願くは上人上京し給はは淸閑 |
J20_0174B18: | 寺中納言家につき此難を奏聞し勅免を得させ給へと |
J20_0174B19: | 一向願けれは上人其後都にのほり淸閑寺中納言家房 |
J20_0174B20: | 卿につきて頻に恩免のむね執願せられけるにぞつひ |
J20_0174B21: | に勅免ありけり其後上人又も尾州に下り彼許に止宿 |
J20_0174B22: | あり時に大宮司今は喜悅の眉をひらきけれは上人へ |
J20_0174B23: | 報恩の爲なりとて神寶數器を拜せしむ中に一封の寶 |
J20_0174B24: | 器あり是何なる品なりとて尋ねられけるにこは往昔 |
J20_0174B25: | 唐主玄宗皇帝和朝に送りしと種の寶の中の此事白氏長慶集十二卷 |
J20_0174B26: | 長恨歌に出隨一にて西天の釋尊左眼の舍利にて唐玄弉三 |
J20_0174B27: | 藏渡天の時那蘭陀寺にて受得せられしなりと云へり |
J20_0174B28: | 當時は勅封にして拜せし者なしと云云玆に上人頻に |
J20_0174B29: | 望まれけれともこは叶ふべくもあらされば上人倩思 |
J20_0174B30: | 惟すらく此舍利斯く神藏にあらは結縁の者あるへか |
J20_0174B31: | らす哀れ神慮をうかかひひそかに持行はやと其夜は |
J20_0174B32: | 神前に誦經し終夜佛號を稱へられけるに不思議や少 |
J20_0174B33: | しまとろみの夢に衣冠正しき老翁あらはれの玉はく |
J20_0174B34: | 汝諸國を遊歷し佛法を弘通す神感尤深し殊に社内の |