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J2950 岩付浄国寺志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0174A01: よろこはしきかな此謝恩には別にささけん者なし近
J20_0174A02: き所の三俣の深淵を島となすべし其の所に寺を建立
J20_0174A03: し衆生を濟渡し給ふべしと忽ち白虵と變して立去り
J20_0174A04: ぬやがて其の所に島出來しかはあやしかりけるにぞ
J20_0174A05: 鬼島と名け里人と共に寺を建無著山龍藏寺とぞ名付
J20_0174A06: らる此所にて遠近の男女を敎化せられける事幾千萬
J20_0174A07: と云ふ事を知らす其後又も童女來りて禮をなし言け
J20_0174A08: るはわれ既に遠からすして苦海を渡るべけれは子孫
J20_0174A09: をして此島を守らしむべし上人は普く諸國を修行し
J20_0174A10: 利益をかさねられなは三國傳來の佛身を得らるべし
J20_0174A11: と言ひ畢りかきけす如くうせけるにぞ上人此旨にま
J20_0174A12: かせ行脚し或國にては七日十日つつ説法度生せられ
J20_0174A13: けるに一とせ尾張國熱田に至り三七日説法の事あり
J20_0174A14: けるには天花ふり紫雲腌けるとなん此時大宮司範親
J20_0174A15: いささか罪ありて蟄居籠舍しありしかは上人にまみ
J20_0174A16: へさるを悲みけるに上人遙かに行き十念を授け給ふ
J20_0174A17: に罪得し事共をのべ哀願くは上人上京し給はは淸閑
J20_0174B18: 寺中納言家につき此難を奏聞し勅免を得させ給へと
J20_0174B19: 一向願けれは上人其後都にのほり淸閑寺中納言家房
J20_0174B20: 卿につきて頻に恩免のむね執願せられけるにぞつひ
J20_0174B21: に勅免ありけり其後上人又も尾州に下り彼許に止宿
J20_0174B22: あり時に大宮司今は喜悅の眉をひらきけれは上人へ
J20_0174B23: 報恩の爲なりとて神寶數器を拜せしむ中に一封の寶
J20_0174B24: 器あり是何なる品なりとて尋ねられけるにこは往昔
J20_0174B25: 唐主玄宗皇帝和朝に送りしと種の寶の中の此事白氏長慶集十二卷
J20_0174B26: 長恨歌に出隨一にて西天の釋尊左眼の舍利にて唐玄弉三
J20_0174B27: 藏渡天の時那蘭陀寺にて受得せられしなりと云へり
J20_0174B28: 當時は勅封にして拜せし者なしと云云玆に上人頻に
J20_0174B29: 望まれけれともこは叶ふべくもあらされば上人倩思
J20_0174B30: 惟すらく此舍利斯く神藏にあらは結縁の者あるへか
J20_0174B31: らす哀れ神慮をうかかひひそかに持行はやと其夜は
J20_0174B32: 神前に誦經し終夜佛號を稱へられけるに不思議や少
J20_0174B33: しまとろみの夢に衣冠正しき老翁あらはれの玉はく
J20_0174B34: 汝諸國を遊歷し佛法を弘通す神感尤深し殊に社内の

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