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J2950 岩付浄国寺志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0173A01: 何れを劣と誰か定むべき恒沙の福智果滿の法王なり
J20_0173A02: 然らば福は信者の胸に滿ち德は行者の心に得べきな
J20_0173A03: れど大悲の餘功は靑蓮の瞬に深く利濟の方便は慈眼
J20_0173A04: の廣に起れりされば法躰は平等なりと雖機感に其別
J20_0173A05: なしとも云ふべからず抑當山安置佛眼舍利の因由を
J20_0173A06: 委く尋るに人王百一代御小松院御宇嘉慶年中の頃敎
J20_0173A07: 藏和尚とて智德兼備の高德あり顯密の奧義を極め禪
J20_0173A08: 律の幽微を盡されしかと末代の凡夫順次出離は彌陀
J20_0173A09: の本願より易きはなく十即十生の妙釋尤憑賴ありと
J20_0173A10: て年來の所行をすて念佛三昧の行者となり諸國を計
J20_0173A11: 擻し稱名をすすめられきされば德不孤必有鄰の道理
J20_0173A12: にて至處其の高才にふくし聞者信を起せしかば五劫
J20_0173A13: 思惟の月は行者の信水に浮びて長載永劫の花は信心
J20_0173A14: の胸に開けり或時武藏太田の郷にて本願の深意を述
J20_0173A15: へ他力の秘術を勸められけるに一日十歳はかりの童
J20_0173A16: 女來りてさめさめとなけきぬ上人是を見汝何故にな
J20_0173A17: けくかや母にはしをくれしにや友とちに別れしにや
J20_0173B18: 不便の者よ菓子與へんと云れしかば童女首を傾け我
J20_0173B19: は此近きわたりにすめるものなり壽は彌勒慈尊の曉
J20_0173B20: にも至るべけれとも三熱の苦は拔れかたしあはれ淸
J20_0173B21: 凉池を得て身をすましめはいかにうれしからましと
J20_0173B22: 知識を待ち尋る事久しされと名利をよ所になし利養
J20_0173B23: を心に絶しめしは少く邊境の悲み朝夕にありさるを
J20_0173B24: こたみ上人敎化の布弘を心うれしくゆたね來る事五
J20_0173B25: 日也仰願は慈愍をたれて別に十念を授け血脈を賜ら
J20_0173B26: は永く淨土の蓮池に生るべきやと時に和尚珠數をも
J20_0173B27: ち摩頂し汝小女成佛何ぞ疑ふべき彼靈山には八才の
J20_0173B28: 小女南方無垢の成道をつけたり况や我彌陀は名を以
J20_0173B29: て物を攝す耳に聞き口に誦する者無邊の性德識心に
J20_0173B30: 亂入し頓に億劫の重罪を除く何况や五七の本願は轉
J20_0173B31: 女の誓なり十方の大願は蠢蠢に及へり疑氷を碎きて
J20_0173B32: 淸水となさんは汝が胸にありと懇に告けられしかは
J20_0173B33: 童女大に歡喜踊躍し禮をなし又言ひけるは今日不退
J20_0173B34: の信を起せり此念相續せは苦を脱せん事旦暮にあり

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