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J2950 岩付浄国寺志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0175A01: 什寶釋尊の舍利を望むの心あり大宮司は勅封を恐れ
J20_0175A02: 讓るべからす明日乞求めかへるへし我又大宮司に告
J20_0175A03: へしと見えさせ忽ち夢さめければ上人翌日此旨を大
J20_0175A04: 宮司に語りけるに大宮司も昨夜不思議の夢告ありさ
J20_0175A05: る上は一命にかへ奉るべしとて出渡けれは上人是を
J20_0175A06: 懷中し先に化童女の佛身を得へしとは正しく此なら
J20_0175A07: んと遍身汗流し毛爲竪けれは此由來を記し明德元年
J20_0175A08: 庚午正月二日滿八十敎藏と云云其後武藏國にかへり
J20_0175A09: 彼開基の寺に納め置れけるに文明年中上杉北條威を
J20_0175A10: 東國に爭ひ互に民屋に放火し坊舍をこほち合戰止時
J20_0175A11: なかりけるに此舍利は當國忍城主成田下總守長泰の
J20_0175A12: 旗下坂卷氏の許に故ありてつたわり供養し拜せしに
J20_0175A13: 其れも尚家亡ひ敵の爲めに子孫討死せしを當所の住
J20_0175A14: 人菅原の何かし故ありて入手ありけれは常に供養せ
J20_0175A15: しかと時時不思議の事ありけるにぞ斯く尊き舍利を
J20_0175A16: 民家に置かん事憚りありと思へる折しも增上寺十代
J20_0175A17: 感譽上人附法の高弟武州鴻巢勝願寺中興惣譽淸巖上
J20_0175B18: 人當地に城主氏房の請により一宇を建立の時菅原氏
J20_0175B19: 深く歸依し此舍利を寄進せらる上人大に感悅しやが
J20_0175B20: て永三十貫をもちて其の志を謝せらる此時當城主北
J20_0175B21: 條從四位左京大夫平氏直朝臣の舍弟太田十郞平氏房
J20_0175B22: 朝臣は志し武門にたくましかりければ釋門の舍利を
J20_0175B23: 信せられす諸人の歸依をねたみ上人に乞てふくさに
J20_0175B24: つつみ石上において槌をもちて是を打ち眞僞を試み
J20_0175B25: られけるに石槌ともにくたけしかと舍利は元の如し
J20_0175B26: 玆に於て大に後悔し信敬のあまり寺の山號を佛眼山
J20_0175B27: と名つけらる夫善惡はもとみつから招く何そ余所よ
J20_0175B28: り來らん氏房一旦の嫉惡に佛身をうたれける護法の
J20_0175B29: 善神なとかとがめ給はざらん忽ち豐臣秀吉公北條追
J20_0175B30: 伐の事起りけるに一族郞等皆白刄の下に伏し家名永
J20_0175B31: く劣へ北條早雲五代の跡烟となりしかば小田原は云
J20_0175B32: ふも更らなり淺野彈正少弼長政此城を攻けるに哀む
J20_0175B33: へし氏房も生害の恨を蒼天にととめらる天正年中よ
J20_0175B34: りは城主高力土佐守平淸長同河内守正長同左近太夫

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