浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J20_0152A01: | まします上上人も極樂に必參りあへと仰の侍りし |
J20_0152A02: | に今まで往生せずして穢土のすまゐかたがた無益 |
J20_0152A03: | なり釋尊も八十の御入滅上人も八十の御往生尊願 |
J20_0152A04: | 又八十なり第十八は念佛往生の願なり今日又十八 |
J20_0152A05: | 日なり如法念佛の結願に當て今日往生したらんは |
J20_0152A06: | 殊勝の事なるべしと申ければ斯る用意とは思ひも |
J20_0152A07: | よらす只あらましの詞と心得て實にめでたくこそ |
J20_0152A08: | 候はめと返答しけるに其夜もあけ十九日にもなり |
J20_0152A09: | ぬあへて苦痛なし只今臨終すべき心地もなかり |
J20_0152A10: | ければ子息の民部太夫守朝をよび切たる腹を引あ |
J20_0152A11: | けてまろきもといふ物の殘りて臨終の延ると覺る |
J20_0152A12: | なりよりて見よと申ける時ぞ初て人しりにける心 |
J20_0152A13: | さきの程にまろき物のあるよしを申ければ手を入 |
J20_0152A14: | て引切て投すててこれがある故に臨終はのぶるな |
J20_0152A15: | るへしとぞ申ける人人驚きあはてけれは娑婆のい |
J20_0152A16: | とはしく極樂の願はしき志日に隨ひていやまさり |
J20_0152A17: | ければ一日もとく參りたくてかくは斗らひぬるよ |
J20_0152B18: | しをかきくどき申ければ實に願往生の志の熾盛な |
J20_0152B19: | るありさま見る人みな涙を流さぬはなし七日迄延 |
J20_0152B20: | ければうがひの水のかよふ故なるべしとてうがひ |
J20_0152B21: | をととめて塗香を用けるが氣力も更におとろへ |
J20_0152B22: | ず程なく疵も愈にける後には時時行水を用ひける |
J20_0152B23: | とかや正月一日に成ければ死せすしては往生すべ |
J20_0152B24: | き道なき故に尊願は正月一日の祝には臨終の儀式 |
J20_0152B25: | をならして年久しくなれり日來のあらましたがえ |
J20_0152B26: | ずして今日往生すべき故に延引しけると悅て頻に |
J20_0152B27: | 念佛しけれども其日もすぎ次の日も又暮ぬ只今臨 |
J20_0152B28: | 終すべき心地もなかりければ心なくぞ侍るよし連 |
J20_0152B29: | 日になげき申けるが正月十三日の夜の夢に來十五 |
J20_0152B30: | 日午刻に迎ふべきよし上人來りて告給ふと見るさ |
J20_0152B31: | めて是を語り歡喜の涙を流しけり件の日に成しか |
J20_0152B32: | ば上人より給りたる袈裟をかけ念珠を持て西に向 |
J20_0152B33: | ひ端坐合掌して高聲に念佛數百返となへ午の正中 |
J20_0152B34: | に念佛とともに息絶ぬ紫雲空にそびへ異香室にみ |