浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J20_0151A01: | 大師傳廿八二武藏國の御家人津戸三郞爲守は生年 |
J20_0151A02: | 十八歳にして治承四年八月に幕下將軍兵衞佐石橋 |
J20_0151A03: | 山の合〓に武藏國より馳參じて後安房國を越給ひ |
J20_0151A04: | しにも同じくあひ隨ひ所所の合戰に忠を致し名を |
J20_0151A05: | 揚げずといふ事なし建久六年二月東大寺供養のた |
J20_0151A06: | めに幕下上洛の事ありき爲守生年三十三にて供奉 |
J20_0151A07: | したりけるが三月四日入洛し同廿一日上人の庵室 |
J20_0151A08: | に參りて合戰度度の罪を懺悔し念佛往生の道を承 |
J20_0151A09: | りてのちは但信稱名の行者となりにければ本國に |
J20_0151A10: | 下りても怠らす或人熊谷入道津戸の三郞は無智の |
J20_0151A11: | 者にて餘行かなひがたければこそ念佛はかりをば |
J20_0151A12: | すすめ給ふらめ有智の人には必しも念佛に限るべ |
J20_0151A13: | からずと申けるを爲守傳へ聞て上人に尋ね申ける |
J20_0151A14: | ついでに條條の不審を申入ける下略 |
J20_0151A15: | 又云津戸三郞上人の門弟淨勝房唯願房等の僧衆少 |
J20_0151A16: | 少申下して念佛の先達として不斷念佛を始め行ひ |
J20_0151A17: | けるを爲守聖道の諸宗を謗し專修念佛を興するよ |
J20_0151B18: | し元久二年の秋比征夷將軍右大臣實朝公にあらぬさまに |
J20_0151B19: | 讒し申者有て下略 |
J20_0151B20: | 又云建保七年正月右府薨逝の時二品禪尼の御はか |
J20_0151B21: | らひとして彼御骨を此所へわたし奉られけれは偏 |
J20_0151B22: | にかの御菩提をそ弔ひ申ける出家の本意をとけば |
J20_0151B23: | やと思ひけるに關東の免許なかりければ在俗の形 |
J20_0151B24: | ながら法名をつき戒をうけ袈裟をたもつべきよし |
J20_0151B25: | 上人のぞみ申入ければ其志を哀みて寬印供奉のか |
J20_0151B26: | かれたる戒本十重禁の次第並に上人の抄記の三聚 |
J20_0151B27: | 淨戒のむねなどしるし下され又袈裟を遣し尊願と |
J20_0151B28: | いふ法名を下されにけり中略仁治三年十月廿八日 |
J20_0151B29: | より三七日の如法念佛をはじめ十一月十八日結願 |
J20_0151B30: | の夜半に道塲にして高聲に念佛し自ら腹を切て五 |
J20_0151B31: | 臟六腑を取り出し練の大口に包みて忍びうらの河 |
J20_0151B32: | に捨させにけり夜陰の事なれば人更に是をしらす |
J20_0151B33: | 其後僧衆にむかひて加樣に出家籠居して大臣殿の |
J20_0151B34: | 御菩提を吊ひ申につけても主君の御名殘も戀しく |