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J2850 小石川伝通院志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0663A01: へと大汗を流し泣叫ふ有さま物のためにおし伏せ
J19_0663A02: られて其足の指を折らるる狀にて怖しなんと云も
J19_0663A03: 愚なり然れとも若者とも心を勵しもろともに引起
J19_0663A04: さんと立よるに物に投らるるかことく覺えうち倒
J19_0663A05: されて近付事能はす其有さま物すこく怖しけれは
J19_0663A06: 日比は鬼をも挫かんと競ひたる者も皆みな逃のき
J19_0663A07: て慄き居たるに片足の指は皆折たると思ふ程に丑
J19_0663A08: 之助又鎭守の氷川明神入らせ給へりと云て聲をあ
J19_0663A09: け此御罸を救はせ給へと叫ひけるかややありて又
J19_0663A10: 澤藏主稻荷來り給へりと云て人人に近よる事なか
J19_0663A11: れと制しつつ起直り畏りてしはし有けるか腹這な
J19_0663A12: から庭に出てひれふし神神を送り奉る狀す物狂は
J19_0663A13: しき狀も止たりかくて人人うち寄其由をとへは金
J19_0663A14: 毘羅神のいかり給へる御氣色申も中なか怖ある御
J19_0663A15: 事なるか雲の上に座して我方を流し目に一目見返
J19_0663A16: 給ふことに我をおし伏たるかの力士我足の指を一
J19_0663A17: つつつ折たり左の足の指は皆折たると思ふ程に鎭
J19_0663B18: 守の神是も供人數多供して束帶にて入らせ給ふ金
J19_0663B19: 毘羅神に向ひ宣へるはこやつ其御神に祈白して斷
J19_0663B20: 酒したる故病を愈給へる恩を忘れ今日いたく酒飮
J19_0663B21: たるを祟め玉ふはさる事なから元より我氏子とし
J19_0663B22: て殊に我祭日なる故に我を慰るわさ仕らんとて人
J19_0663B23: 人にそそのかされ酒はたへたる也しかれは免し給
J19_0663B24: ふ方もあらん又たとへとかめ給ふとも一應我に其
J19_0663B25: 事を宣ひてこそともかくも罸め給ふへきわさなる
J19_0663B26: 然る事もなく我氏子を思召ままに御罸あらせらる
J19_0663B27: る事こそこころえすと宣ふに金毘羅神もけにもと
J19_0663B28: 思召御有狀なから何のいらへもなく互ににらみ相
J19_0663B29: ておはしける處に傳通院の澤藏主稻荷來り給へり
J19_0663B30: 此は僧形のことく見えたまふ淺黄の深頭巾を〓ふ
J19_0663B31: りたるか御二方の間に平伏していたく恐愼める狀
J19_0663B32: にて申すやうは己は傳通院の多久藏主に侍り金毘
J19_0663B33: 羅神の御いかり氷川明神の仰共に理りありて承り
J19_0663B34: 候かく承り候も元こやつか怠りより事起り侍れは

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