浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J19_0662A01: | りとて入寺を許し玉ふかの多久藏主の智德他にす |
J19_0662A02: | くれ庶人みな尊敬す其のち二三ケ年の學席を經て |
J19_0662A03: | ある夜の夢に我は誠は稻荷大明神なり登山せし事 |
J19_0662A04: | 我大願あり國家安全にして僧俗の願望を成就せん |
J19_0662A05: | 事を願ふに依て小社を作りあたへ給ふべし永代當 |
J19_0662A06: | 山守護神となるへしと示現し白狐の形を顯し給ふ |
J19_0662A07: | 則ち澤藏司所化の時持玉ふ守本尊の十一面觀世音 |
J19_0662A08: | の尊像を春日の作なり 本地として境内に鎭坐あらせ給ふ |
J19_0662A09: | 委縁記にあり |
J19_0662A10: | 文化十二年小石川戸崎町石屋長左衞門弟子丑之助 |
J19_0662A11: | 重瘡を煩ひ醫も斷りけり丑之助元より大酒にて有 |
J19_0662A12: | しか讃州金毘羅神に願立し禁酒するに病漸愈然れ |
J19_0662A13: | とも酒は生得好なれは折折は酒鹽と名つけ菜物に |
J19_0662A14: | ひたし飮む事あり九月十日は如例鎭守氷川明神の |
J19_0662A15: | 祭日なりしか其前日に所の若者とも彼丑之助にい |
J19_0662A16: | ふは和主は狂踊の上手なれは如例明日は彼踊をせ |
J19_0662A17: | よと丑之助云我瘡毒愈難かりしを金毘羅神に立願 |
J19_0662B18: | し酒を禁し愈たる事は皆皆知る事なり醉のしれ心 |
J19_0662B19: | なくて彼踊せらるへき歟と云に皆皆云明日は鎭守 |
J19_0662B20: | の祭なれは常とは異なり酒ものみ踊もせよと強に |
J19_0662B21: | いへは丑之助もけにもと思ひ當日朝より友たちと |
J19_0662B22: | 酒飮遊醉狂れ在けるか巳時はかりより忽大熱さし |
J19_0662B23: | あらあつや堪かたや金毘羅樣免し給へと云皆皆驚 |
J19_0662B24: | て如何と問へは庭の空を指さして人人には見えさ |
J19_0662B25: | るか金毘羅樣あれにおはしますといへと皆皆には |
J19_0662B26: | 見えすいかなる御形勢そと云丑之助火のことき息 |
J19_0662B27: | をつき御神は御黑髮長く垂て冠裝束を召れ雲の上 |
J19_0662B28: | に立給ひ數多の御供附したかひ爪折の緋かさを差 |
J19_0662B29: | かけ奉り御前に鬼神のことき力士ありて其仰を承 |
J19_0662B30: | り汝か病極て愈ましきを強に祈申すか故にいやし |
J19_0662B31: | 給ふ所なり然るに折折ひそかに少つつ酒を飮たる |
J19_0662B32: | たにあるをけふはけさより思ふままに酒飮て醉狂 |
J19_0662B33: | るる事憎く思食に依り手足の指を皆折しめ給ふよ |
J19_0662B34: | し也といひもはてぬに早うつ伏にふして免したま |