浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J19_0567A01: | 寬文二寅年九月本譽上人へ境景の勝絶たる地を見立 |
J19_0567A02: | べきのむね仰ありしかば麻布一本松にて願はれける |
J19_0567A03: | にやがて僧房を建させられ隱料として二百石を添賜 |
J19_0567A04: | へり其後延寶四辰年四月御修復あり又元祿二巳年總 |
J19_0567A05: | 御修復あり同十二年卯年九月又御修復あり同十四巳 |
J19_0567A06: | 年九月三日桂昌院殿御入法義御聽聞あらせられ同十 |
J19_0567A07: | 五午年五月二日常憲院殿入御同十六未年九月八日桂 |
J19_0567A08: | 君御入其後度度御入説法を聞し召せられ拜領物あり事は團照室の下に出す同年十月十八日憲 |
J19_0567A09: | 廟入御此外略す正德四午年六月廿五日寶曆十辰年八月廿 |
J19_0567A10: | 日兩度御修復あり此後歷世山主現譽大僧正までは皆 |
J19_0567A11: | 縁山辭職の後必す玆にうつり閑座念佛したまひ報壽 |
J19_0567A12: | をおくり西土往詣の道をすすませられしかど統譽大 |
J19_0567A13: | 僧正病にひまなくおはらせられし後倫譽大僧正は |
J19_0567A14: | じめて新谷に隱棲を造られ此地に入せられさりしか |
J19_0567A15: | ば法室もなかばたたみ修理年年に怠りける故今は白 |
J19_0567A16: | 壁蕭門も颯颯たる風の朝暮におとづれ禪房閑庭に春 |
J19_0567A17: | 花秋霜徒に積れるのみにして蒼天東海の溟溟たる壯 |
J19_0567B18: | 觀をまつに人なくして庭前の卉木あるじを寂寥たる |
J19_0567B19: | 月にこふのみここに文政二夘年四月十四日たまたま |
J19_0567B20: | 禪扉をたたき法室の靜處にのぞみ淸茶閑座のついで |
J19_0567B21: | 新に八境十景を題す |
J19_0567B22: | 閑扉朦月 |
J19_0567B23: | 代代の貫主すませられし書院佛室東にむかひ萬 |
J19_0567B24: | 里の海船を一瞬に見渡し南北の杜林壯觀をそふ |
J19_0567B25: | 其春夜の月光秋天の明光にまさらん事思ふてし |
J19_0567B26: | るべしおのれ詩歌を添なんもおこがましければ |
J19_0567B27: | 愚題に景をしるして後人の此地に淸遊吟賦を述 |
J19_0567B28: | ん事を待のみ |
J19_0567B29: | 窓前虫聲 |
J19_0567B30: | 貞譽大僧正閑夜の誦經安禪の床に虫の聲聲秋 |
J19_0567B31: | をつげて物さびしくあはれをうかめける時 |
J19_0567B32: | 草しげみたれまつ虫の數數に |
J19_0567B33: | 夜さむをつけて窓になくらん |
J19_0567B34: | 是より虫の聲のあはれをゆかしとて後園の草を |