浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J19_0558A01: | げ寂寥たる石苔眼に死滅の色をしめす立ならべる石 |
J19_0558A02: | 塔は東西の國より掛錫の大衆なり故園の月を遠くへ |
J19_0558A03: | たちて命おはれば恨を剃度の寺におくれり見渡せる |
J19_0558A04: | 五輪は南北の男女なり生前の花を跡に殘して身まか |
J19_0558A05: | れば悲を親族の袖につつめりかれをとへは年若の女 |
J19_0558A06: | 是をきけは壯勇の士なりみな緇素のわかちありとい |
J19_0558A07: | へども心を靑天にかけずといふ事なし然るに一息か |
J19_0558A08: | へらざるに及びては千秋の齡も水上の泡にひとしく |
J19_0558A09: | 曉雲晩月われらが發心をすすむるにあり然らは此墳 |
J19_0558A10: | 墓に至ん輩はいよいよ生死無常の姿に驚きますます |
J19_0558A11: | 無上菩提の資糧を植べし前中納言持豐卿やつがれに |
J19_0558A12: | 給へりし釋敎十首の中に |
J19_0558A13: | たのめただ死するばかりは僞りの |
J19_0558A14: | なき世なりけり南無阿彌陀佛 |
J19_0558A15: | 『或書』云ここに予法祖の塔をぬかづき誦經し將 |
J19_0558A16: | に歸らんとする時一僧後にたたすみ予を顧て云凡 |
J19_0558A17: | 人世五十年一期の所業は燈前の笑談たり有爲變し |
J19_0558B18: | 易く無常賴かたし抑西隅東邊より當山に掛錫する |
J19_0558B19: | ものみな同しく圓頂の身といへども其所願は悉く |
J19_0558B20: | 大刹に住し紫金の衣裝をかさね僧綱の極位をまち |
J19_0558B21: | て寺院の政制を執柄せんと思ふにあり然るに身金 |
J19_0558B22: | 剛にあらす報生前に定りありてかくのことく前亡 |
J19_0558B23: | 後滅し體を地に埋み名を石にゑりての後は自剃の |
J19_0558B24: | 師匠敎書の法縁のみならず花に馴月に契し芳友た |
J19_0558B25: | りとも音信既に絶し追慕涙にあり况や千山萬水を |
J19_0558B26: | 凌て掛錫し二脉相承に至らす故園に歸省なくして |
J19_0558B27: | 命終れるをや漫漫たる海路嶠嶠たる山嶺を隔し親 |
J19_0558B28: | 疎の家族ははるかに此地を思ひ空しく此境を恨ん |
J19_0558B29: | かたたし自身は本より般若の智水をくみて弘誓の |
J19_0558B30: | 願船にのりえてん上は西土の敎主もいかてか見す |
J19_0558B31: | て給はん引接たのみあり得生うたがひなからん歟 |
J19_0558B32: | しかりといへども生縁のなげき修行の未熟他力に |
J19_0558B33: | ほこりて本願にもるる時はすすみて自身に益なく |
J19_0558B34: | しりぞきて不孝の罪多しますます輪廻のもとひを |