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J2820 三縁山志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0546A01: 庭にあり
J19_0546A02: ○黄鳥の井は台德院殿御供水の井なり御所常に鶯を
J19_0546A03: 好ませたまひ日頃めでかはせられし數多の鶯を登霞
J19_0546A04: ましませしのち籠のままにこの地にはなさせられし
J19_0546A05: かは其鶯年年にすごもりていまも此御山に聞ゆる聲
J19_0546A06: はよその鳴音にことなり其ころ朝暮の御阿〓をくめ
J19_0546A07: るもの聲にめで時をうつせるより名づけしとなむ水
J19_0546A08: 又淸澄として他にたぐひなし
J19_0546A09: ○紫色井は蓮池の北の方通元院のもとの地中にあり
J19_0546A10: 此水夏冷冬溫淸澄深湛一方に名水の名流れて炎天に
J19_0546A11: 損减なし往年學單上人此井より紫氣ののほれるを見
J19_0546A12: られしより名つけられしとぞ
J19_0546A13: ○淸文の井天光院にあり三島谷いまだ玉川の水道を
J19_0546A14: つたへざりしさきは各寮の井水みな濁塩の氣味あり
J19_0546A15: て用るにうみけれは悉く此水をもとめ法問の筆錄講
J19_0546A16: 書の謄寫までにももちひけれは淸くすみて問答淸弁
J19_0546A17: なるをたとへ文筆のもの名づけしなり又或云もと伊
J19_0546B18: 達家の時の用井なり政宗卿文武に名たたるをつたへ
J19_0546B19: てかく名づけ殘せりともいへり
J19_0546B20: ○伊達井は良源院にあり前に出せり
J19_0546B21: ○彩筆井は飯倉社の中にあり文人才子水を竹におさ
J19_0546B22: め願滿の書畵にもちひ書を人に敎ゆるの師はわけて
J19_0546B23: 常にこひもとめてかへりしかば兒女又ひとしく持か
J19_0546B24: へり筆硯に益ありと云傳へり此水又寒暑增减なくし
J19_0546B25: て菅公の文筆を仰くもの石盥〓身を淸めぬかつきて
J19_0546B26: 德光を仰けば名もおほろげならずして自性の淸冷所
J19_0546B27: をえたるといふべからん歟
J19_0546B28: 此外院寮の内に名たたる深井澄水も侍れとここに略
J19_0546B29:
J19_0546B30: ○七橋
J19_0546B31: ○極樂橋は三門の前南にあり安國殿台德院殿へ參拜
J19_0546B32: の公卿諸侯下乘の所なり此橋名は寬永三寅年より名
J19_0546B33: つけしとなり又烏丸光廣卿御廟前にて長歌よませさ
J19_0546B34: さげられ此橋のもとにて遙拜ありて長歌は『黄葉集』にのす法に

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