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J2820 三縁山志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0537A01: 望至らず五十位の行布圓融一分の觀解を得るも只是
J19_0537A02: 義了の分齊なり殊に正法像法の時世をすぎ眞言の説
J19_0537A03: によれは金剛部の利最の秋にして末世濁妄の今なり
J19_0537A04: もし僧毎に三衣一鉢樹下一宿して身を養はは法は人
J19_0537A05: によりて弘塞わかちあるか故に他を度し法を弘通
J19_0537A06: する事あたはず又佛子の種子を失べしされはとて小
J19_0537A07: 子沙彌は自他宗ともに淸貧枯淡たりいやしくも多年
J19_0537A08: 戒臘の座階宗功純修の極位に至りては其寺の格列を
J19_0537A09: たて又は惣錄官寺の主に至るか故に一身を其宗の興
J19_0537A10: 廢につからし想念を寺門の隆夷にかくこの時におよ
J19_0537A11: びては且く世財の榮利あるににたりといへども誰か
J19_0537A12: 名利の財欲にふけらん傳聞神大祖君大樹寺に危難を
J19_0537A13: 遁れ給ひし時寺主登譽後日の證願ありし中に一宗寺
J19_0537A14: 院に領をはぶき多を拒むの一章あり祿多けれは是驕
J19_0537A15: 恣のもとひとして南都北嶺をたとへ無なる時は活食
J19_0537A16: 報命三寶住持にたよりなしといへりむへなる哉もし
J19_0537A17: 三寶流布なき時は惡鬼邪神のわざはひありて諸天善
J19_0537B18: 神の擁護をうしなへり故に祿あり僧みちて國家永久
J19_0537B19: を保祈し金輪大樹の台齡を無窮に祝禱すへし是故に
J19_0537B20: 我中興國師命祿を遜受し徒を三千餘來遊せしめられ
J19_0537B21: しは西天震旦はいさしらす本朝には比例なし又德行
J19_0537B22: 傑出のために封戸田園山林金帛を賜へるは既に釋氏
J19_0537B23: といへとも臣なり何そ恩寵を辭し台慮にもとらむ唯
J19_0537B24: 我宗のみにあらす海内の緇徒この意にもどる事ある
J19_0537B25: べからさるもの者歟
J19_0537B26: 謹案るに北條氏足利家の代に寺院をそれそれ造立
J19_0537B27: ましましけれといづれも所欣の者にのみ造らせら
J19_0537B28: れ歸依なきのものは佛道をしらず邊鄙孤島に生死
J19_0537B29: するものは名を聞ぬものも多しここに東照宮登位
J19_0537B30: の御始より海内に佛閣をひらかしめ津浦山隅のは
J19_0537B31: てまても寺院を建立させ給ひけれは念佛誦經密咒
J19_0537B32: 論釋互に信受の宗榮へしにそ惡鬼邪神もすみか
J19_0537B33: を失ひ愚人野客も善心にうつり數百年の當今治
J19_0537B34: 敎休明の御代は偏へに釋門興隆正法流布の揭然た

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