浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J19_0466A01: | 築燒香增上寺源譽上人玉藏院忠義法印以上三人 |
J19_0466A02: | 『武藏國片山法臺寺縁記』云元祿十七申年の秋米津淸三 |
J19_0466A03: | 母堂萩園初茸かりの爲とて當所の近村長久保原に |
J19_0466A04: | 米津氏知行所 遊はれしか俄に雨ふり來て雨宿りせん所も |
J19_0466A05: | なかりしに鐘鼔の聲聞ゆるをしるへに尋ゆかれし |
J19_0466A06: | にあやしき草庵に老僧の念佛するあり從者も此 |
J19_0466A07: | 庵に雨を凌き同音に念佛せし程にやかて空晴わた |
J19_0466A08: | りて日は西山にかけ傾きければ立歸らんとする時 |
J19_0466A09: | 僧はいか成人そと問はれしに答て法臺寺に靈像い |
J19_0466A10: | まして衆生を利益し給ふありかたさに此あたりに |
J19_0466A11: | 住て念佛の行者を守り侍る也君早く生死の苦海 |
J19_0466A12: | をいとひ淨土の樂峯に登り給へ極樂に參るには念 |
J19_0466A13: | 佛に過たる事なしと示すを聞てとうとさ限りなく |
J19_0466A14: | 覺へて歸られけるかあくる日又結縁せんとて其 |
J19_0466A15: | 所に至られしに草庵も跡形もなく老僧も見へざり |
J19_0466A16: | けれはいぶかしさにあたりの人にありし物語して |
J19_0466A17: | 問れけれは答て云法臺寺に安置せる國師の御影よ |
J19_0466B18: | りより遊戯して諸人の急難を救ひ玉ふ事有その僧 |
J19_0466B19: | も國師ならんと母堂すくに法臺寺に參り尊像を拜 |
J19_0466B20: | するに昨日の僧の姿にたかはざりけれは身の毛 |
J19_0466B21: | いよ立感涙し恭敬念佛して家に歸られしかしかの |
J19_0466B22: | 趣を米津氏につけて田地そくはくの課役を除きて |
J19_0466B23: | 當寺に寄進し勇猛の念佛者となられけるとそ米津 |
J19_0466B24: | 氏も此靈驗に感心し常に國師を崇敬供養せられし |
J19_0466B25: | か其後家運大に開けしとなむ『又』云寬文の頃十 |
J19_0466B26: | 二天村鈴木氏の男子目しいけるか幼少にして能琵 |
J19_0466B27: | 琶を彈せり天和三亥年に撿校にすすみけるかもと |
J19_0466B28: | より念佛を信仰し日課三萬返を唱へ常に國師の靈 |
J19_0466B29: | 驗をとうとみ當寺に參詣して御影前にぬかつき何 |
J19_0466B30: | とそ正身の辨才天を拜せしめ給へと祈念する事廿 |
J19_0466B31: | 餘年に及けるかくて正德二辰年六月十六日の夜の |
J19_0466B32: | 夢に美麗なる貴女來り告て云明日市場坂下の當寺の西 |
J19_0466B33: | にてちかき所なり澤に琵琶を傳授すへしとのたまふと見てさ |
J19_0466B34: | めたり檢校奇異の思ひをなしあくる日とく起て身 |