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J2820 三縁山志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0466A01: 築燒香增上寺源譽上人玉藏院忠義法印以上三人
J19_0466A02: 武藏國片山法臺寺縁記』云元祿十七申年の秋米津淸三
J19_0466A03: 母堂萩園初茸かりの爲とて當所の近村長久保原に
J19_0466A04: 米津氏知行所 遊はれしか俄に雨ふり來て雨宿りせん所も
J19_0466A05: なかりしに鐘鼔の聲聞ゆるをしるへに尋ゆかれし
J19_0466A06: にあやしき草庵に老僧の念佛するあり從者も此
J19_0466A07: 庵に雨を凌き同音に念佛せし程にやかて空晴わた
J19_0466A08: りて日は西山にかけ傾きければ立歸らんとする時
J19_0466A09: 僧はいか成人そと問はれしに答て法臺寺に靈像い
J19_0466A10: まして衆生を利益し給ふありかたさに此あたりに
J19_0466A11: 住て念佛の行者を守り侍る也君早く生死の苦海
J19_0466A12: をいとひ淨土の樂峯に登り給へ極樂に參るには念
J19_0466A13: 佛に過たる事なしと示すを聞てとうとさ限りなく
J19_0466A14: 覺へて歸られけるかあくる日又結縁せんとて其
J19_0466A15: 所に至られしに草庵も跡形もなく老僧も見へざり
J19_0466A16: けれはいぶかしさにあたりの人にありし物語して
J19_0466A17: 問れけれは答て云法臺寺に安置せる國師の御影よ
J19_0466B18: りより遊戯して諸人の急難を救ひ玉ふ事有その僧
J19_0466B19: も國師ならんと母堂すくに法臺寺に參り尊像を拜
J19_0466B20: するに昨日の僧の姿にたかはざりけれは身の毛
J19_0466B21: いよ立感涙し恭敬念佛して家に歸られしかしかの
J19_0466B22: 趣を米津氏につけて田地そくはくの課役を除きて
J19_0466B23: 當寺に寄進し勇猛の念佛者となられけるとそ米津
J19_0466B24: 氏も此靈驗に感心し常に國師を崇敬供養せられし
J19_0466B25: か其後家運大に開けしとなむ『又』云寬文の頃十
J19_0466B26: 二天村鈴木氏の男子目しいけるか幼少にして能琵
J19_0466B27: 琶を彈せり天和三亥年に撿校にすすみけるかもと
J19_0466B28: より念佛を信仰し日課三萬返を唱へ常に國師の靈
J19_0466B29: 驗をとうとみ當寺に參詣して御影前にぬかつき何
J19_0466B30: とそ正身の辨才天を拜せしめ給へと祈念する事廿
J19_0466B31: 餘年に及けるかくて正德二辰年六月十六日の夜の
J19_0466B32: 夢に美麗なる貴女來り告て云明日市場坂下の當寺の西
J19_0466B33: にてちかき所なり澤に琵琶を傳授すへしとのたまふと見てさ
J19_0466B34: めたり檢校奇異の思ひをなしあくる日とく起て身

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