浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J19_0307A01: | 紫豐後國に願故といへる念佛の行者『鹽尻』には善導寺の僧とあり信 |
J19_0307A02: | 濃國善光寺本尊を拜し奉らんと數年に數十度步みを |
J19_0307A03: | 運ひ信仰しけるに或夜の夢に武藏國日比谷今は芝といふ竹 |
J19_0307A04: | 芝の浦のほとりに分身あり我にひとしとの靈告に |
J19_0307A05: | よりて此地にはるはる來り拜し奉りしとなむ元祿十 |
J19_0307A06: | 丑年三月廿九日三丸御方御參詣の節御拜禮あらせら |
J19_0307A07: | る寶曆十二午年二月舊堂燒失す明和六丑年今の堂を |
J19_0307A08: | 建立し安置す本尊往古より秘佛にて堅く開帳せされ |
J19_0307A09: | ば俗にあかぬ堂といひならはせり又俗言に赤くぬりてありけれはあかん堂とも |
J19_0307A10: | いへり毎年十月十五日開帳あり又百日余雨ふらぬ時は |
J19_0307A11: | 雨乞の爲開帳なし奉るに其感應いちじるきものなり |
J19_0307A12: | 『鹽尻』天野信景云文多同前故玆畧す正德四子年願主ありて善光 |
J19_0307A13: | 寺の常燈明の火を請て此寺院長夜常燈明とす古へ |
J19_0307A14: | 此如來の前に不淨あれはたたりましますとて門戸 |
J19_0307A15: | をしめて參詣もなかりし故俗にあかん堂と呼しと |
J19_0307A16: | なむ今茲八月六日より二萬日不退轉の念佛回向十 |
J19_0307A17: | 五日まて開帳ありて貴賤群集す云云 |
J19_0307B18: | ○鍬形正觀世音菩薩 銅御長八寸貳分 別當 恭敬院 |
J19_0307B19: | 當山十七主照譽了學上人いまた飯沼下總國弘華寺に住 |
J19_0307B20: | 職し給へりし時或夜の夢に寬永三年七月十七日といふ池中より光明 |
J19_0307B21: | を放ち給へは夢中なからも奇異の思ひをなしいか成 |
J19_0307B22: | 尊像か此池にはましますらんと案しけるにやかて其 |
J19_0307B23: | 池の蓮上に觀音の尊像顯れ給ふと見へ夢は覺らる其 |
J19_0307B24: | 翌朝池中を求め玉ふにはたして池中に潜藏せし尊像 |
J19_0307B25: | 夢中に拜せしにつゆたかはさりしかばやかて内佛に |
J19_0307B26: | 安置し奉り寬永九申年正月當山へ移轉ののち開山上 |
J19_0307B27: | 人の開山上人七月十八日遷化此像感得七月十八日觀音の御縁日も十八日本地佛と仰き開山堂 |
J19_0307B28: | のかたはち別當所恭敬院の本尊となされける後業譽 |
J19_0307B29: | 上人の代慶安二丑年正月山主の夢に我西刹の莊嚴を |
J19_0307B30: | すて此東國の穢土に出現せるも本は諸人結縁の爲な |
J19_0307B31: | りはやく諸人步を運ぶ地に移すへしとありしかは今 |
J19_0307B32: | の地に移し恭敬院も同く移れり元祿三午年六月十八 |
J19_0307B33: | 日御城に御迎へ御拜覽の時御甲の鍬形に御立御拜覽 |
J19_0307B34: | ありしかは鍬形の號あり |