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J2820 三縁山志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0286A01: 入御夜着の上より二刀まて刺奉るに手こたへのな
J19_0286A02: きにあはてさはきけるを神君樣何やらんと御聲を
J19_0286A03: かけさせ給ふにぞとのゐの人びと驚き馳集りやか
J19_0286A04: て小童をからめとり御前に引居けれはいか成罪科
J19_0286A05: にも行はせ給ふへきに却て御氣色御うるはしく小
J19_0286A06: 童か節を守り死を輕んするの意を賞美し給ひ人を
J19_0286A07: して武田の方へ送り返させ給ふにぞ武田の方にて
J19_0286A08: も神君樣の寬仁大度の御計ひを感しけるとぞ是よ
J19_0286A09: り神君樣には益此尊像を崇敬し給ひ遂富天下を持
J19_0286A10: ち威四海にくははり萬機の御計らひ吐握の御いと
J19_0286A11: まさへあらせられざる御身にも日課の御念佛は一
J19_0286A12: 日も懈らせ給ふ事なかりしとかや誠や運命は宿世
J19_0286A13: 善惡の業によりて盛衰は指掌の間にあらはるる事
J19_0286A14: ながらまた禍を轉し福となし重を輕きにうつすも
J19_0286A15: 佛神の擁護にあらずといふ事なしわきて無量壽如
J19_0286A16: 來は超世大悲の法王にて渡らせたまへはかりそめ
J19_0286A17: にも信仰の志あらん人爭か感應なからさらんや天
J19_0286B18: 正十五亥年駿府に本尊をむかへ給ひいよいよ御崇
J19_0286B19: 敬あり慶長五年關ケ原御陣の御時御當山存應上人
J19_0286B20: を御城に召させられ十念を受させ給ふ是先規の御
J19_0286B21: 嘉例とそ御先祖御代代岡崎の御城にて大樹寺住持の十念を受させたまひ若事急成時は大樹寺に向はせたまひ御十念を
J19_0286B22: 唱へさせられ御出馬ありしとなんされは天下太平御子孫繁榮の御祈願
J19_0286B23: とて松に十八公の嘉名あれは佛の十八本願になぞ
J19_0286B24: らへ關東十八檀林の御建立も此故にそ仰出されけ
J19_0286B25: る九月朔日御出馬あらせられし時御當山に成らせ
J19_0286B26: 給ひ御門出の御祝儀とて天上天下唯我獨尊の法門
J19_0286B27: をぞ仰付られける是や矛を橫へて詩を賦し陣に對
J19_0286B28: して琴を彈せしも敢て况ぶべきかは神君樣は江戸
J19_0286B29: 御城を台德院に御讓らせたまひ駿府城に御座を移
J19_0286B30: させ給ひしにも此本尊を御隨身なし給ひ常に御供
J19_0286B31: 養あらせ給へり就中元和の始大阪御陣の時本尊を
J19_0286B32: 奉持し給ひ國師の上足了的廓山の兩僧に同しく
J19_0286B33: 本尊の供奉を仰付らる此時駿府御城に於て廓山を召れ出家黑衣の身なりといへとも陣中供奉に
J19_0286B34: よりてうすの御釼を御手つから給へり是を帶し御陣中に侍座し奉り御陣中より送りし書札ともに今御當山寶庫に納むされ

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