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J2820 三縁山志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0285A01: 持力を仰かせたまひ御武運長久の御いのり年久し
J19_0285A02: けれは幸ひ此寺の本尊にも逆徒和融の御祈願を籠
J19_0285A03: させたまふに誠や風に草の偃かことく程なく皆
J19_0285A04: みな御麾下に屬し奉りけれは是より愈此本尊に歸
J19_0285A05: 依したまひ頻に彼住持に懇望し給へども容易に奉
J19_0285A06: らさりしかど再三の仰によりて左候はば暫の程御
J19_0285A07: 逗座の體になし奉らはやと奉りけれは御自筆の御
J19_0285A08: 書にて
J19_0285A09: 惠心の阿彌陀申請候所御本寺え可被仰屆之段相
J19_0285A10: 心得候然は先其内可被願置候旨申入候處御領掌
J19_0285A11: 令祝着候自然餘寺へ可爲寄進も樣に御内證候哉
J19_0285A12: 聊非其義候家康持佛堂に爲令安置候委細雅樂助
J19_0285A13: 可申入候恐恐謹言
J19_0285A14: 三月廿二日 家康在御判
J19_0285A15: 明眼寺
J19_0285A16: 猶又御願滿足の御喜とて寺領三十石寄附し又運慶の
J19_0285A17: 作彌陀三尊の像を彼寺へ給ひけれは住持も難有命
J19_0285B18: を感戴し終に永祿七子年五月此尊像を捧け岡崎城
J19_0285B19: へ入れ奉りぬされば神君樣御供養の本尊の内にも
J19_0285B20: 殊に此尊像に御祈り淺からぬ御事とそ其比武田氏
J19_0285B21: 武勇を爭ひ數ケ度の合戰竟に勝利を得る事能はす
J19_0285B22: 時に一ツの奇策を設け我家の子に器量拔群の小童
J19_0285B23: ありしかは是に深く秘計を授け僞て咎あるものの
J19_0285B24: まねして是を追放す小童窂人の身となり遂にたよ
J19_0285B25: りを求め御家に召出され常に御側近く侍りて其隙
J19_0285B26: を窺ふといへとももとより運命天に契ひ給へる名
J19_0285B27: 將なれは中中本意を遂へき方便なしされとも主命
J19_0285B28: を恥かしめしと白虹日を貫くの勢ひも龍鬚を摩に
J19_0285B29: ことならす神君樣にはそれとも知しめさす常の御
J19_0285B30: 寢所に成らせ給ひ暫しまとろませ給へは不思議や
J19_0285B31: 黑本尊御枕の上に立せたまひいかに家康何とて起
J19_0285B32: 居て持佛堂に來り念佛せさるやと御聲あららかに
J19_0285B33: 呼せ給ふにぞ其儘御佛間に成らせられしとやかに
J19_0285B34: 念佛し給ふに件の小童それとは不知御寢所に忍ひ

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