浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J19_0270A01: | かにも存奉らすと申上らる君又宣ふは成程明朝來 |
J19_0270A02: | て御齋召んと堅き御意にて御立あり和尚思ひける |
J19_0270A03: | は太守明朝の御出實しからずといへともかたかた |
J19_0270A04: | の仰なれは萬一若御入あるへきにもやあらんと其 |
J19_0270A05: | 用意なとありしに御約束にたがひ給はず翌朝御入 |
J19_0270A06: | あり和尚悅喜斜ならす即ち麁菜の御齋を奉らる偖 |
J19_0270A07: | 公仰られけるは今朝齋を所望申す事別儀にあらす |
J19_0270A08: | 大將たらんもの菩提所なきは死を忘るに似たり勿 |
J19_0270A09: | 論先祖代代の菩提所は三州大樹寺なり當所にて菩 |
J19_0270A10: | 提所は貴寺を賴み入師檀の契約仕らん爲なりとあ |
J19_0270A11: | れば和尚兎角の返答なく只涙を流さる公御覽じ涙 |
J19_0270A12: | を流し給ふ故を御尋あれば和尚云くされは昨日の |
J19_0270A13: | 御入府にて間もなく加樣の御沙汰あるへきとも存 |
J19_0270A14: | 奉らす其上愚僧體の者御菩提所の住持となり申さ |
J19_0270A15: | ん事思ひもよらす候なり偖偖有難き御事とて落涙 |
J19_0270A16: | しばしばやまざりき公御感悅淺からずさらば師檀 |
J19_0270A17: | の契約に十念を御授候へとて即ち御拜授ありて御 |
J19_0270B18: | 歸城なり其御跡より和尚は無僕の體にて登城有け |
J19_0270B19: | れば即ち和尚を御前へ召し大樹寺よりの次第を逐 |
J19_0270B20: | 一に御物語ぞ遊ばしける其後增上寺を平川口へ移 |
J19_0270B21: | し給ひしか御城の要地逼れりとて後程なく慶長三戌年 |
J19_0270B22: | 今の芝濱の面に御引移ありと云云 |
J19_0270B23: | 『落穗集第二』云問云江戸表に於て三縁山增上寺を |
J19_0270B24: | 御菩提所金龍山淺草寺を御祈願所と被仰出とあ |
J19_0270B25: | るは御入國以後の儀に有之候と申は其通りの事に |
J19_0270B26: | 候哉答云此儀に付ては色色の説を申觸候へ共我等 |
J19_0270B27: | 承及候趣は權現樣御入國遊されしは天正十八年八 |
J19_0270B28: | 月上旬と申に相違無御座候然とも北條家を御たや |
J19_0270B29: | し其跡を御拜領と有之前方より相定りたる儀にて |
J19_0270B30: | も有之候哉權現樣小田原表御著陣被遊候以後江戸 |
J19_0270B31: | 表に於て御祈願所に可被遊天台宗一ケ寺と御菩提 |
J19_0270B32: | 所に可罷成樣なる淨土宗一ケ寺見立候樣にとの御 |
J19_0270B33: | 吟味被仰出候節淨土宗に可然寺とては傳通院增上 |
J19_0270B34: | 寺と申して二ケ寺有之其内傳通院は古跡には有之 |