浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J19_0267A01: | 慈潤し給ふのいたす所ならすや『東國高僧傳十廿八』に |
J19_0267A02: | およそ一代の剏始をなし跡を千秋にのこし芳を萬古 |
J19_0267A03: | に流者は其人必す博大秀傑にして庸流とことなり |
J19_0267A04: | といへるも實にしかる歟上人の事蹟本傳に至て見る |
J19_0267A05: | へし |
J19_0267A06: | 『大業廣記二』云爰に新田義貞の女は千葉介氏胤 |
J19_0267A07: | に嫁し滿胤及び末子德千代丸を生す祖父の貞胤猶 |
J19_0267A08: | 子として椎名の地に別居せしめ椎名德千代と稱せ |
J19_0267A09: | り然るに此德千代丸は外祖家の新田の一族多くは |
J19_0267A10: | 亡滅し事を哀み追善の志を起し眞言の僧と成て貝 |
J19_0267A11: | 塚村光明寺に住せしか中略然は酉譽上人は俗縁新 |
J19_0267A12: | 田の餘流にて御當家と同姓にて御菩提所たる事有 |
J19_0267A13: | 縁の奇遇と謂べし『又云』傳に稱す今の江戸城の |
J19_0267A14: | ほとり古へは皆田野にて龍の口のほとりに增上寺 |
J19_0267A15: | 廣度院ありしに或時有親公此地を御旅行あつて彼 |
J19_0267A16: | 廣度院を開基の酉譽上人は新田家の因あるにより |
J19_0267A17: | て有親公此寺院に止宿し給ひ四面を眺望思惟し玉 |
J19_0267B18: | ふに是こそ四神相應の地なりもし家運をひらき志 |
J19_0267B19: | 願のことく東國に榮ん事をとけなば此地こそ城築の |
J19_0267B20: | 勝塲にて無双の天府ならんと遠慮をめくらし給ひ |
J19_0267B21: | しを此地の少し西に當り稻荷明神の一社ありしに |
J19_0267B22: | 有親公其夜靈夢の事ありてかの社に拜謁し祈念を |
J19_0267B23: | こらしたまふと云云 |
J19_0267B24: | 數世隆夷 |
J19_0267B25: | 開祖の鴻業實にかたし是を守成張大ならしむる事又 |
J19_0267B26: | やすからず當山は酉譽上人亂戰爭鬪の中に開きて一 |
J19_0267B27: | 宗の傳法道塲としたまひ負笈の學徒四方より雲集り |
J19_0267B28: | けれど生者必滅は閻浮の常なりましてや壽報七十 |
J19_0267B29: | を過五つあまりつゐに永享十二年七月十八日遷化し |
J19_0267B30: | 給へりここに法燈忽ち消宗途將に迷闇に至りなんと |
J19_0267B31: | す門下數百の中より氏法共に親屬ける酉仰上人を第 |
J19_0267B32: | 二世と撰擧す酉公同く法輪を轉して學徒を敎育せら |
J19_0267B33: | れしかば其篤純の精德を感し四方の雨笠悉く仰欽相 |
J19_0267B34: | 次て音譽上人補處たりしかは道德解證龍象の上にこ |