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J2820 三縁山志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0267A01: 慈潤し給ふのいたす所ならすや『東國高僧傳十廿八』に
J19_0267A02: およそ一代の剏始をなし跡を千秋にのこし芳を萬古
J19_0267A03: に流者は其人必す博大秀傑にして庸流とことなり
J19_0267A04: といへるも實にしかる歟上人の事蹟本傳に至て見る
J19_0267A05: へし
J19_0267A06: 『大業廣記二』云爰に新田義貞の女は千葉介氏胤
J19_0267A07: に嫁し滿胤及び末子德千代丸を生す祖父の貞胤猶
J19_0267A08: 子として椎名の地に別居せしめ椎名德千代と稱せ
J19_0267A09: り然るに此德千代丸は外祖家の新田の一族多くは
J19_0267A10: 亡滅し事を哀み追善の志を起し眞言の僧と成て貝
J19_0267A11: 塚村光明寺に住せしか中略然は酉譽上人は俗縁新
J19_0267A12: 田の餘流にて御當家と同姓にて御菩提所たる事有
J19_0267A13: 縁の奇遇と謂べし『又云』傳に稱す今の江戸城の
J19_0267A14: ほとり古へは皆田野にて龍の口のほとりに增上寺
J19_0267A15: 廣度院ありしに或時有親公此地を御旅行あつて彼
J19_0267A16: 廣度院を開基の酉譽上人は新田家の因あるにより
J19_0267A17: て有親公此寺院に止宿し給ひ四面を眺望思惟し玉
J19_0267B18: ふに是こそ四神相應の地なりもし家運をひらき志
J19_0267B19: 願のことく東國に榮ん事をとけなば此地こそ城築の
J19_0267B20: 勝塲にて無双の天府ならんと遠慮をめくらし給ひ
J19_0267B21: しを此地の少し西に當り稻荷明神の一社ありしに
J19_0267B22: 有親公其夜靈夢の事ありてかの社に拜謁し祈念を
J19_0267B23: こらしたまふと云云
J19_0267B24: 數世隆夷
J19_0267B25: 開祖の鴻業實にかたし是を守成張大ならしむる事又
J19_0267B26: やすからず當山は酉譽上人亂戰爭鬪の中に開きて一
J19_0267B27: 宗の傳法道塲としたまひ負笈の學徒四方より雲集り
J19_0267B28: けれど生者必滅は閻浮の常なりましてや壽報七十
J19_0267B29: を過五つあまりつゐに永享十二年七月十八日遷化し
J19_0267B30: 給へりここに法燈忽ち消宗途將に迷闇に至りなんと
J19_0267B31: す門下數百の中より氏法共に親屬ける酉仰上人を第
J19_0267B32: 二世と撰擧す酉公同く法輪を轉して學徒を敎育せら
J19_0267B33: れしかば其篤純の精德を感し四方の雨笠悉く仰欽相
J19_0267B34: 次て音譽上人補處たりしかは道德解證龍象の上にこ

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