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J2810 華頂誌要 華頂山編 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0172A01: 大師自行化他唯念佛を縡としたまふと雖も、一乘圓
J19_0172A02: 戒は特に其正統を繼けるを以て、請益辭するに由な
J19_0172A03: く、 後白河、 高倉、 後鳥羽三帝の戒師となり
J19_0172A04: 給へり。高倉天皇は御在位の時承安五年勅請ありし
J19_0172A05: かは、禁中に參して圓戒を授けたてまつる。 後白
J19_0172A06: 河法皇は屢屢仙洞に召して受戒聞法したまひ、歸敬
J19_0172A07: 甚た深し。甞て往生要集を披講せしめ、叡感の餘り、
J19_0172A08: 藤原隆信をして大師の眞影を圖せしめ、蓮華王院の
J19_0172A09: 寶庫に納め給へり。又文治四年八月、院中の如法經
J19_0172A10: に大師をして其先達とならしめ、建久三年二月御大
J19_0172A11: 漸の砌、召して往生の儀式を定めしめ給へり。其他
J19_0172A12: 上西、宜秋、修明の各門院を始め、月卿雲客宮人其
J19_0172A13: 化を仰いて受戒念佛するもの極めて多し。
J19_0172A14: 就中、關白藤原兼實公崇敬他に異り、道契良に篤し。
J19_0172A15: 建仁二年大師を拜して落飾し、圓證と號す。是より
J19_0172A16: 先き建久九年の春六十六歳其請に依り『選擇本願念佛集』
J19_0172A17: を著はす。一部十六章、聖道淨土の二門を分ち、淨
J19_0172B18: 土門の中に於て安心起行を辨定し、正雜二行の得失
J19_0172B19: を論し、本願念佛の勝益を顯はす。淨土一宗の要義
J19_0172B20: 渾へて其中にあり。此年念佛三昧を發得し給ひ、爾
J19_0172B21: 後屢屢勝相を感す。事御自筆の三昧發得記に詳なり。
J19_0172B22: 其他頭光蹈蓮、暗室放光等、現證奇瑞また尠からす。
J19_0172B23: 人其德を渴仰して勢至菩薩の化現と稱す。
J19_0172B24: 大師の勸化一朝に滿ち四海其化を仰くに及ひ、門弟
J19_0172B25: の中專修を名として餘敎を誹り、本願に托して放逸
J19_0172B26: を行ふものありしかは、南都北嶺の衆徒之によりて
J19_0172B27: 念佛の興行を停め、大師の化導を妨けんとし、元久
J19_0172B28: 元年の冬、山徒大講堂に集り、之を座主眞性僧正に
J19_0172B29: 訴ふ。大師之を聞き、大に憂ひ、自ら起請文七箇條
J19_0172B30: を製し、門徒宿老八十餘人をして連署せしめ、且つ
J19_0172B31: 誓書を山門に送る。兼實禪閤亦座主を諭して衆徒の
J19_0172B32: 憤を解かしむ。其後興福寺の欝陶猶止ます。朝に迫
J19_0172B33: り、專修念佛を糺改し、大師以下を重科に處せんと
J19_0172B34: 乞ふ。朝議門徒の邪執を禁遏したまふと雖も、咎を

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