浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0519A01: | まの煙絶る日も無し』と謳ふて其志を明すか如き以 |
J18_0519A02: | て其實事たるを憑徴すへし。嗚呼出世といひ出世と |
J18_0519A03: | いふ出離生死にあらすして知增兩山猊座の謂のみ。 |
J18_0519A04: | 有德といひ有德といふ道心德行にあらすして積財の |
J18_0519A05: | 謂のみ。敎海の風潮元祿已降武門淫靡の波流に混化 |
J18_0519A06: | し。滔滔乎として利名の岸頭に趨向す。而も能く毅 |
J18_0519A07: | 然之か中流の砥柱となり。富貴を視る浮泡の如く勢 |
J18_0519A08: | 榮を望む蜃樓の如く。師長に華頂大僧正あり法兄に |
J18_0519A09: | 百山貫主觀了上人あり自己亦た畿甸の名山に踞し英 |
J18_0519A10: | 名夙に天下に播す而も曾て與からさるかことし。風 |
J18_0519A11: | 雲脚下に臨む而も跡を烟霞に晦まし。龍門指顧に在 |
J18_0519A12: | り而も光を丘壑に葆み。凞凞乎として世表に遨嘯し |
J18_0519A13: | 麻衣一鉢分衞以て其眞を養ふ。誠に是れ雅量一世を |
J18_0519A14: | 曠ふし德操百代に冠たるにあらすんは安んそ克く之 |
J18_0519A15: | に到らん。其の苟も人を容れす又た人に容られんこ |
J18_0519A16: | とを求めす。道儀を當時に師表し風敎を後代に貽謀 |
J18_0519A17: | するに至ては師の風を聞て感奮する者今古何そ限ら |
J18_0519B18: | ん。然則ち師か宗家に寄遺せる冥益實に大なるもの |
J18_0519B19: | ありと謂ふも誰か敢て然らすと云はんや。顏淵言孔 |
J18_0519B20: | 子。不容何病。然後見君子。老子曰。夫惟大。故 |
J18_0519B21: | 似不肖。若肖。久矣其細。と豈夫れ爾らすや。少 |
J18_0519B22: | 時の誓願此に於てか滿ち絶外孤立の能事此に於てか |
J18_0519B23: | 永く沒せす。師の如きは眞に善く逆境に處するもの |
J18_0519B24: | と謂ふへき哉。寒山深稱我心 純白石無黄金 |
J18_0519B25: | 泉聲暗撫伯琴 有子期辨此音。是れ寒山子が |
J18_0519B26: | 䏶を叩ひて歌ひし所にあらすや。而して夢菴は實に |
J18_0519B27: | 是れ師か寒山なり。花に起き月に臥し風に嘯き馬に |
J18_0519B28: | 和し。泛泛乎として人間世を玩ひ惁惁然として紫雲 |
J18_0519B29: | 臺を徯つ。意會すれは筆を搦つて彩雲を飛し。請あ |
J18_0519B30: | れは座に升つて天華を雨す。金鍮論は寶曆十一年を |
J18_0519B31: | 以て成る抑揚擒縱古賢把て掌上に掀翻し。戯歌集は |
J18_0519B32: | 明和四年を以て輯む吐鳳雕龍眞に宇宙の奇觀を究 |
J18_0519B33: | む。所謂麤言輭語皆歸佛乘もの。其他眞察僧正傳 |
J18_0519B34: | を編し伏虎錄を校する等多くは此間に在り。今一一 |