浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J18_0515A01: | と其境遇を豹變したるか如し。然とも本地の風光は |
J18_0515A02: | 依然たり席にあらす卷へからす石にあらす轉すべか |
J18_0515A03: | らす師か先天の偃蹇と倶生の寒素は長へに隨逐して |
J18_0515A04: | 而も其身邊を莊嚴せり。其豐腴華榮の間に處して獨 |
J18_0515A05: | り枯淡を主持し毫も煙火の氣なきを看る。師甞て自 |
J18_0515A06: | ら哂ふて曰く『我むかしより紙袋にて夏は蚊をふせ |
J18_0515A07: | き冬は寒を防きて楮庵主人と云ひ又は紙袋法師とい |
J18_0515A08: | ふ其袋に書つけける。世の中を袋一つに入かへて思 |
J18_0515A09: | へは輕き我身なりけり』戯歌集又師か此前後に於る著 |
J18_0515A10: | 書に徴せよ。紫朱論。曇華論の諸書に獅吼して大に日 |
J18_0515A11: | 蓮の徒を屏息せしめ。彼安心鏡問津訣を鐫すれは私 |
J18_0515A12: | かに鷽鳩の鳴を爲して叨りに鵬翼を議する者あり。 |
J18_0515A13: | 其辨正。辨惑。破邪。辟魔。楠石等の論より。大學 |
J18_0515A14: | 考三彝訓を述して程朱と李王の學弊を攻擊するに至 |
J18_0515A15: | るまで。大抵法鼓を折伏の門に鳴すにあらざるはな |
J18_0515A16: | し。其某卿と和歌を論して諧はさるや『量りきや和 |
J18_0515A17: | 歌の浦うら尋ね來てうき波立て返るへしとは』『高師 |
J18_0515B18: | 山嵐烈く吹からに落る木の葉のうらみてそゆく』戯歌集 |
J18_0515B19: | 浩然其壁に題して去るか如き。抑も師か漫りに人を |
J18_0515B20: | 容れす又人に容れられさりし風釆を見るに足る。惟 |
J18_0515B21: | り眞察僧正在て『胸襟豁如。容衆猶海。方來既勤。 |
J18_0515B22: | 用明德懷。倚几下者。多人中圭璧』眞察僧正傳瑜伽並 |
J18_0515B23: | ひ納れて克く師か圭璧を切瑳し而も玷るなからしむ |
J18_0515B24: | るあるのみ。然と雖も師の輕易に人を容れさる所由 |
J18_0515B25: | のもの。徒に貢高自大即ち爾るにあらさるなり。其 |
J18_0515B26: | 剛直潔白惡を憎んて假さるに坐る。而して其惡を憎 |
J18_0515B27: | む所以は人をして善に遷らしむる所以なり。其獨善 |
J18_0515B28: | 自養吾れ獨り淸めりとする如きは素より師の屑しと |
J18_0515B29: | せさるところ。是故に延請して法を聽んとする者あ |
J18_0515B30: | れは境の都鄙と道の遠近を論せす皆な悅んて之に應 |
J18_0515B31: | す。師は壯年より老後に及ふまて説法談義の爲めに |
J18_0515B32: | 四方に遊履せしことは。到る處詞章を留めて唾咳珠 |
J18_0515B33: | 璣の戯歌集に燦爛たるに徴見すへし。特に説法談義 |
J18_0515B34: | のみならす講筵の致請に遇ふ亦た頻頻たり。中に就 |