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J2760 略伝集 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0513A01: 衣銕の如く缺月林に掛りて寒光骨に沁す。爾時物あ
J18_0513A02: り。忽然腔裡に涌動し恍たり惚たり漸くにして四肢
J18_0513A03: の遊曳す。心神暢然宛も甘露に浴するか如し遽かに
J18_0513A04: して倐ち省あり。即ち蹶起踏舞して曰く『佛之言有
J18_0513A05: 曰。西方過十萬億土有世界曰極樂。其國無
J18_0513A06: 有三惡八難。衆寶爲飾。苟念力具足則往生彼國。
J18_0513A07: 然後出三界之外其於佛道無退轉者。斯言豈欺
J18_0513A08: 人乎』師は斯の如く思惟して。心曠體胖恰も轍鮒の
J18_0513A09: 水を得て具羅の風に遭へるに似たり。感極つて爲に
J18_0513A10: 號泣するに至る。師は是に於て遂に一大事因縁を究
J18_0513A11: 竟し了せり即ち將に山を下らんとす。年來吉野郷人
J18_0513A12: の師か爲に衣鉢を給する者を會し。初めて自得の法
J18_0513A13: を説き盛んに念佛の門戸を闡揚す『咲き散るも世の
J18_0513A14: 習そとみよしのの花の木陰に南無阿彌陀佛』と是
J18_0513A15: れ説法會上に拈出するところ。別に長詩歌各一篇あ
J18_0513A16: り歌は戯歌集に見え詩は西路談に載す。時に享保十
J18_0513A17: 六辛亥師齡二十三歳なり。師は既に三密の宅を出て
J18_0513B18: て一行の門に歸す。一大事因縁に於て重擔を卸した
J18_0513B19: るが如し。然れとも人天の師となり求化の大志を成
J18_0513B20: す更に博綜貫練の功を累ねさるへからす。即ち又た
J18_0513B21: 孤錫瓢瓢關東に向ふ。是時に當て淨土の敎權江都に
J18_0513B22: 集中し。花岳や量山や學肆稻麻の如く講壇竹〓の如
J18_0513B23: し。智龍義虎互ひに輩出して一大盛觀を極む。然と
J18_0513B24: 雖も仔細に之を觀すれは其學風たる多くは訓詁記誦
J18_0513B25: の末のみ。而も名利の心を以て之を行る。其講壇は
J18_0513B26: 紫朱を賭するの孤注のみ其學席は猊座を釣るの香餌
J18_0513B27: のみ。出離の學道蕩然方に地を拂はんとす。師豈に
J18_0513B28: 慊焉たらさるを得ん乎。乃ち趨つて之を避け將に浼
J18_0513B29: されさらんとするか如し。即ち去て明師を金龍の救
J18_0513B30: 世尊に祈る。『於焉。自尋蓮華族之龍象。而問其
J18_0513B31: 要津。未嘗當以足我訣疑者也。時至玄寒不
J18_0513B32: 能遊學。卓錫乎靈雲密寺。閑談於慧光老師。
J18_0513B33: 老師憐以迎春也。然當第五日與師論。遂及于即
J18_0513B34: 身成佛之宗風超過芬陀雜華也。我曰六大之觀雖勝

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