浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0513A01: | 衣銕の如く缺月林に掛りて寒光骨に沁す。爾時物あ |
J18_0513A02: | り。忽然腔裡に涌動し恍たり惚たり漸くにして四肢 |
J18_0513A03: | の遊曳す。心神暢然宛も甘露に浴するか如し遽かに |
J18_0513A04: | して倐ち省あり。即ち蹶起踏舞して曰く『佛之言有 |
J18_0513A05: | 曰。西方過十萬億土有世界曰極樂。其國無 |
J18_0513A06: | 有三惡八難。衆寶爲飾。苟念力具足則往生彼國。 |
J18_0513A07: | 然後出三界之外其於佛道無退轉者。斯言豈欺 |
J18_0513A08: | 人乎』師は斯の如く思惟して。心曠體胖恰も轍鮒の |
J18_0513A09: | 水を得て具羅の風に遭へるに似たり。感極つて爲に |
J18_0513A10: | 號泣するに至る。師は是に於て遂に一大事因縁を究 |
J18_0513A11: | 竟し了せり即ち將に山を下らんとす。年來吉野郷人 |
J18_0513A12: | の師か爲に衣鉢を給する者を會し。初めて自得の法 |
J18_0513A13: | を説き盛んに念佛の門戸を闡揚す『咲き散るも世の |
J18_0513A14: | 習そとみよしのの花の木陰に南無阿彌陀佛』と是 |
J18_0513A15: | れ説法會上に拈出するところ。別に長詩歌各一篇あ |
J18_0513A16: | り歌は戯歌集に見え詩は西路談に載す。時に享保十 |
J18_0513A17: | 六辛亥師齡二十三歳なり。師は既に三密の宅を出て |
J18_0513B18: | て一行の門に歸す。一大事因縁に於て重擔を卸した |
J18_0513B19: | るが如し。然れとも人天の師となり求化の大志を成 |
J18_0513B20: | す更に博綜貫練の功を累ねさるへからす。即ち又た |
J18_0513B21: | 孤錫瓢瓢關東に向ふ。是時に當て淨土の敎權江都に |
J18_0513B22: | 集中し。花岳や量山や學肆稻麻の如く講壇竹〓の如 |
J18_0513B23: | し。智龍義虎互ひに輩出して一大盛觀を極む。然と |
J18_0513B24: | 雖も仔細に之を觀すれは其學風たる多くは訓詁記誦 |
J18_0513B25: | の末のみ。而も名利の心を以て之を行る。其講壇は |
J18_0513B26: | 紫朱を賭するの孤注のみ其學席は猊座を釣るの香餌 |
J18_0513B27: | のみ。出離の學道蕩然方に地を拂はんとす。師豈に |
J18_0513B28: | 慊焉たらさるを得ん乎。乃ち趨つて之を避け將に浼 |
J18_0513B29: | されさらんとするか如し。即ち去て明師を金龍の救 |
J18_0513B30: | 世尊に祈る。『於焉。自尋蓮華族之龍象。而問其 |
J18_0513B31: | 要津。未嘗當以足我訣疑者也。時至玄寒不 |
J18_0513B32: | 能遊學。卓錫乎靈雲密寺。閑談於慧光老師。 |
J18_0513B33: | 老師憐以迎春也。然當第五日與師論。遂及于即 |
J18_0513B34: | 身成佛之宗風超過芬陀雜華也。我曰六大之觀雖勝 |