ウィンドウを閉じる

J2760 略伝集 本会 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0511A01: 水辟邪訓の跋に於て之を見る『大我有養母曰蓮心。
J18_0511A02: 慈愛及禽獸持呪如僧尼。人見爲奇焉。知命薙染
J18_0511A03: 堅持齋戒耳順仰信撥棄餘行念佛孜孜一日無懈
J18_0511A04: 矣古稀之歳六八晝端坐稱名終于華下焉。好相若干
J18_0511A05: 徒衆數十隨見聞記成一卷也。噫去者遠矣來春三
J18_0511A06: 月當十三忌景乃至製此疏以擬佛登天説法者
J18_0511A07: 也』辟邪訓は寬延元年師か初老にして著はす所。而
J18_0511A08: して蓮心の十三忌辰の追善を擬すと云ふ。然則ち彼
J18_0511A09: は師か二十七八歳に及んて初めて謝世したるものな
J18_0511A10: り。孨孨たる孤兒生れて其哺乳に育し既にして其給
J18_0511A11: 養に長す。師か彼に負戴する眞に罔極と謂つへし。
J18_0511A12: 宜なり師かその蓮心を看る恰も生母を看るか如き
J18_0511A13: や。嘗試みに師か幼冲の日を想へ。雨窓風簷半白の老
J18_0511A14: 媼丱たる總角。媼や戯欹咽嗚兒も亦た感懷自ら禁へ
J18_0511A15: さるか如く。豐頰紅を潮し澄眸玉を浮へ齠齒を切は
J18_0511A16: り〓臂を扼して發憤飛躍の狀を爲すを。而して媼や
J18_0511A17: 耳提するところ兒や感奮するところ果して何事『至
J18_0511B18: 丱角之年。深惺世之無安。希脱塵凡於世表。
J18_0511B19: 自手振匕首剗頭髮而直入于東都靈雲密寺禀
J18_0511B20: 戒於慧光大和。』問津訣麟兒畢竟凡儔にあらす。師は
J18_0511B21: 燥髮自ら躬の逆境に在ることを悟れり。則ち謂へら
J18_0511B22: く迍如邅如空く逆境に沈漓し伶俜以て未知の父母の
J18_0511B23: 名を辱むるは豈に其忍ふ所ならんやと。是に於て大
J18_0511B24: 勇猛心を發して遂に自ら叢林に投したり。其特に眞
J18_0511B25: 言宗を擇ひし所以のものは師の自ら見る所あるに因
J18_0511B26: るか別に縁由在て然るか今之を詳にせす。然とも之
J18_0511B27: に依て世に傳へて師は初め日蓮宗に捨身したりと云
J18_0511B28: へるの誤謬たるを發明すへし。師已に出家す是れ獅
J18_0511B29: 兒千仞の崖に試られたるなり。稜稜たる氣骨早く業
J18_0511B30: に摶虎の機を現はす。乃ち未た幾くならすして數多
J18_0511B31: の誓願を立つ。其一に曰く『乏食自活不求請資具
J18_0511B32: 知足斷希望不親尊爵高錄人不親遨遊戯論
J18_0511B33: 人』嗚呼是れ驅烏の雛僧の口よりして名利惟れ理
J18_0511B34: 想なる正德享保際の僧風に警醒したるもの。箇の絶

ウィンドウを閉じる