浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0350A01: | 捨の癖をつきて。行住坐臥口稱三昧暫くも忘るるこ |
J18_0350A02: | となかれ。若愚夫愚婦と同く。悠悠として。はるか |
J18_0350A03: | に最後の見佛を期するは。怠慢のいたりといひつべ |
J18_0350A04: | し。時時別行を修して。身心を策勵すべし。在家は |
J18_0350A05: | 産業にいとまなし。出家は閑靜無事に處して。全く |
J18_0350A06: | 在俗と等く。證すべき一大事を棄て。證するに心な |
J18_0350A07: | きは。本意なきことなり。假使百年を經るも。面 |
J18_0350A08: | 墻の失遁るる所なし。慶哉時は澆末なれども。唯此 |
J18_0350A09: | 法門のみ。證を得る人近代なほ乏しからず。我何人 |
J18_0350A10: | ぞ。ひとり分にあらずとして。これを勤めざらん。 |
J18_0350A11: | 若猶進修に踟蹰せば。これ能はざるにあらず爲ざる |
J18_0350A12: | なり。すでに人身を得て出家となれり。豈宿善なか |
J18_0350A13: | らんや。信心に淺深ありとも。もとより難修の法に |
J18_0350A14: | あらず。眞誠に是を志さば。十に八九は證を得んこ |
J18_0350A15: | と更に疑ふべからず。おしひかな身は寶所に臨ん |
J18_0350A16: | で。珍珠は左右に盈溢すれども。これを拾ふに心な |
J18_0350A17: | し。これ理の怪しむべき事にあらずや。これを思 |
J18_0350B18: | へ。これを念へ。爲ことなくして。空く光陰を消却 |
J18_0350B19: | し。袈裟下に人身を失して。後の悔を遺す事なか |
J18_0350B20: | れ。こは住持訓にも出たれごも。〓要なればここに拔うつす。 |
J18_0350B21: | 師ある時。弟子等にしめして云。古人三種の痛鞭策 |
J18_0350B22: | あり。一には報恩。二には決志。三には求驗也。初 |
J18_0350B23: | に報恩とは。佛祖の大恩はさらなり。師長父母國王 |
J18_0350B24: | の恩にいたるまで。報し盡さんと思ふべし。これ他 |
J18_0350B25: | なし自信敎人信なり。此こと易きに似てかたし。こ |
J18_0350B26: | のゆゑに難中轉更難といへり。しかれども。難きに |
J18_0350B27: | 似てまた甚やすし。法によりて修行すれば。おのづ |
J18_0350B28: | から謝恩となればなり。次に決志とは。大丈夫出家 |
J18_0350B29: | せる。これ衣食のためにあらず。名利のためにあら |
J18_0350B30: | ず。ただこれ無上菩提のためなりと。必至と思ひさ |
J18_0350B31: | だめて。四弘の願輪にむちを加ふべし。後に求驗と |
J18_0350B32: | は。ただ經相文字のうへにとどこふらず。佛法に於 |
J18_0350B33: | て。しるし一つ見出してんと。思ふべし。しからざ |
J18_0350B34: | れば。死佛法となるなり。よつしく活佛法となさんと |