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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0350A01: 捨の癖をつきて。行住坐臥口稱三昧暫くも忘るるこ
J18_0350A02: となかれ。若愚夫愚婦と同く。悠悠として。はるか
J18_0350A03: に最後の見佛を期するは。怠慢のいたりといひつべ
J18_0350A04: し。時時別行を修して。身心を策勵すべし。在家は
J18_0350A05: 産業にいとまなし。出家は閑靜無事に處して。全く
J18_0350A06: 在俗と等く。證すべき一大事を棄て。證するに心な
J18_0350A07: きは。本意なきことなり。假使百年を經るも。面
J18_0350A08: 墻の失遁るる所なし。慶哉時は澆末なれども。唯此
J18_0350A09: 法門のみ。證を得る人近代なほ乏しからず。我何人
J18_0350A10: ぞ。ひとり分にあらずとして。これを勤めざらん。
J18_0350A11: 若猶進修に踟蹰せば。これ能はざるにあらず爲ざる
J18_0350A12: なり。すでに人身を得て出家となれり。豈宿善なか
J18_0350A13: らんや。信心に淺深ありとも。もとより難修の法に
J18_0350A14: あらず。眞誠に是を志さば。十に八九は證を得んこ
J18_0350A15: と更に疑ふべからず。おしひかな身は寶所に臨ん
J18_0350A16: で。珍珠は左右に盈溢すれども。これを拾ふに心な
J18_0350A17: し。これ理の怪しむべき事にあらずや。これを思
J18_0350B18: へ。これを念へ。爲ことなくして。空く光陰を消却
J18_0350B19: し。袈裟下に人身を失して。後の悔を遺す事なか
J18_0350B20: れ。こは住持訓にも出たれごも。〓要なればここに拔うつす。
J18_0350B21: 師ある時。弟子等にしめして云。古人三種の痛鞭策
J18_0350B22: あり。一には報恩。二には決志。三には求驗也。初
J18_0350B23: に報恩とは。佛祖の大恩はさらなり。師長父母國王
J18_0350B24: の恩にいたるまで。報し盡さんと思ふべし。これ他
J18_0350B25: なし自信敎人信なり。此こと易きに似てかたし。こ
J18_0350B26: のゆゑに難中轉更難といへり。しかれども。難きに
J18_0350B27: 似てまた甚やすし。法によりて修行すれば。おのづ
J18_0350B28: から謝恩となればなり。次に決志とは。大丈夫出家
J18_0350B29: せる。これ衣食のためにあらず。名利のためにあら
J18_0350B30: ず。ただこれ無上菩提のためなりと。必至と思ひさ
J18_0350B31: だめて。四弘の願輪にむちを加ふべし。後に求驗と
J18_0350B32: は。ただ經相文字のうへにとどこふらず。佛法に於
J18_0350B33: て。しるし一つ見出してんと。思ふべし。しからざ
J18_0350B34: れば。死佛法となるなり。よつしく活佛法となさんと

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