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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0348A01: しかれども宮家には。また宮家の作法ありて別種な
J18_0348A02: れば。世間に相從し給へること多し。されど今時僧
J18_0348A03: はなべて。天下の遊民なんど思へる儒者達も。佛法
J18_0348A04: を破滅することあたはざるは。上に諸宗の法親王の
J18_0348A05: おはしませばなり。さればかの御方は。ただそのま
J18_0348A06: まにても。惣じて佛法の護持となり給ふこと莫大な
J18_0348A07: り。此ところをよくよく分別して。我曹も面立たる
J18_0348A08: 律僧といふものにはならずとも。隨分戒を持ちて。
J18_0348A09: 此ままにて如法に内德をととのへすすむべきなり。
J18_0348A10: 今時在俗の輩にも。法親王方をはじめ奉り。なべて
J18_0348A11: 諸宗の僧徒を。破戒無戒の思ひをなすもの多くある
J18_0348A12: なれば。この邪見をすくふにも。官僧のままにて。
J18_0348A13: 持戒淸淨なるがよきなり。
J18_0348A14: 又云。我門の僧は。ただ宗祖大師の後にならひて。
J18_0348A15: 專修念佛し。さて隨分に持戒すべきなり。まづ財色
J18_0348A16: の二つだに淸淨ならば。諸戒したがひて淸淨なるべ
J18_0348A17: し。表はただ何となき姿にて。内心をととのへもて
J18_0348B18: ゆくが。眞實の道者にてあるなりと。古人も仰られ
J18_0348B19: たり。
J18_0348B20: 師。常に三心の要義を示していはく。三心とは誠信
J18_0348B21: 願の三つなり。一に至誠心とは。眞心に生死をいと
J18_0348B22: ひ。僞りかざりもなく。極樂往生を願ふ心なり。二
J18_0348B23: に深心とは。遠劫よりこのかた。生死に流轉して出
J18_0348B24: 離の縁なき身なれども。此たび本願他力によりて。
J18_0348B25: 決定往生疑ひなしと。必至と信じてきづかはざる心
J18_0348B26: なり。三に囘向發願心とは。唱ふる念佛を極樂往生
J18_0348B27: に囘向して。餘事に用ひざるなり。此三心は往生淨
J18_0348B28: 土の命脉なれば。よくよく心得べき事なり。吉水大
J18_0348B29: 師は。三心四修と申事の候は。皆決定して南無阿彌
J18_0348B30: 陀佛にて。往生するぞと思ふ内にこもり候なり。と
J18_0348B31: 仰られたり。これ行を離れたる心にはあらざる事を
J18_0348B32: 示し給へるなり。善導大師。至誠心の御釋に。十重
J18_0348B33: の猒欣に。三業の行をあげて。眞實心を示し。深心
J18_0348B34: の下に。正雜の行をもて。信するところの法とし。

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