浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0348A01: | しかれども宮家には。また宮家の作法ありて別種な |
J18_0348A02: | れば。世間に相從し給へること多し。されど今時僧 |
J18_0348A03: | はなべて。天下の遊民なんど思へる儒者達も。佛法 |
J18_0348A04: | を破滅することあたはざるは。上に諸宗の法親王の |
J18_0348A05: | おはしませばなり。さればかの御方は。ただそのま |
J18_0348A06: | まにても。惣じて佛法の護持となり給ふこと莫大な |
J18_0348A07: | り。此ところをよくよく分別して。我曹も面立たる |
J18_0348A08: | 律僧といふものにはならずとも。隨分戒を持ちて。 |
J18_0348A09: | 此ままにて如法に内德をととのへすすむべきなり。 |
J18_0348A10: | 今時在俗の輩にも。法親王方をはじめ奉り。なべて |
J18_0348A11: | 諸宗の僧徒を。破戒無戒の思ひをなすもの多くある |
J18_0348A12: | なれば。この邪見をすくふにも。官僧のままにて。 |
J18_0348A13: | 持戒淸淨なるがよきなり。 |
J18_0348A14: | 又云。我門の僧は。ただ宗祖大師の後にならひて。 |
J18_0348A15: | 專修念佛し。さて隨分に持戒すべきなり。まづ財色 |
J18_0348A16: | の二つだに淸淨ならば。諸戒したがひて淸淨なるべ |
J18_0348A17: | し。表はただ何となき姿にて。内心をととのへもて |
J18_0348B18: | ゆくが。眞實の道者にてあるなりと。古人も仰られ |
J18_0348B19: | たり。 |
J18_0348B20: | 師。常に三心の要義を示していはく。三心とは誠信 |
J18_0348B21: | 願の三つなり。一に至誠心とは。眞心に生死をいと |
J18_0348B22: | ひ。僞りかざりもなく。極樂往生を願ふ心なり。二 |
J18_0348B23: | に深心とは。遠劫よりこのかた。生死に流轉して出 |
J18_0348B24: | 離の縁なき身なれども。此たび本願他力によりて。 |
J18_0348B25: | 決定往生疑ひなしと。必至と信じてきづかはざる心 |
J18_0348B26: | なり。三に囘向發願心とは。唱ふる念佛を極樂往生 |
J18_0348B27: | に囘向して。餘事に用ひざるなり。此三心は往生淨 |
J18_0348B28: | 土の命脉なれば。よくよく心得べき事なり。吉水大 |
J18_0348B29: | 師は。三心四修と申事の候は。皆決定して南無阿彌 |
J18_0348B30: | 陀佛にて。往生するぞと思ふ内にこもり候なり。と |
J18_0348B31: | 仰られたり。これ行を離れたる心にはあらざる事を |
J18_0348B32: | 示し給へるなり。善導大師。至誠心の御釋に。十重 |
J18_0348B33: | の猒欣に。三業の行をあげて。眞實心を示し。深心 |
J18_0348B34: | の下に。正雜の行をもて。信するところの法とし。 |