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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0347A01: に入りて。みづから刀もて身肉を解き。心を割てこ
J18_0347A02: れをささげ。西にむかいて遷化せられしこと。續高
J18_0347A03: 僧傳に見えたり。今時これほどの志はおこるべから
J18_0347A04: ずといへども。古人護法の大志をみて。我氣ぎたな
J18_0347A05: き心をばはづべきなり。
J18_0347A06: 又云。宋の宣宗皇帝の時。安國寺の沙門修會といふ
J18_0347A07: もの。詩をよくして帝の寵遇を蒙れり。あるとき紫
J18_0347A08: 衣を賜らんことをのぞみしかば。汝に於て吝まずと
J18_0347A09: いへども。しかれども相にかくることあり。恐らく
J18_0347A10: は害あらんとの給しかども。修會しひてこひしか
J18_0347A11: ば。すなはち紫を賜ひしに。一夕たちまち死せりと
J18_0347A12: なん。されば人は己分をはかり。非分の望みを發さ
J18_0347A13: ず。ただたることを知りてたのしむべきなり。さて
J18_0347A14: また紫緋金襽衣等を賜へる。諸山の老尊宿は。皆宿
J18_0347A15: 福深厚の果報故に。今生大法の梁柱とならせたまへ
J18_0347A16: るなれば。深く尊崇すべきなり。
J18_0347A17: 又云。今時官僧といふもの。自己は無戒のやうにお
J18_0347B18: もひ。婬肉を斷ずるは。戒なることをわすれ。たま
J18_0347B19: たま律僧に對すれば。別なるもののやうに心得た
J18_0347B20: り。それゆゑに在俗のもの。官僧を見ること塵芥の
J18_0347B21: ごとし。たとひ持戒如法の僧にても。鼠色の法衣な
J18_0347B22: らでは無戒の看をなし。白眼にて見るなり。その律
J18_0347B23: 僧といふものも。開遮持犯もくはしからず。見戒儀
J18_0347B24: 命も知らずして。ただ晩食をやめたるのみにて。增
J18_0347B25: 上慢心を發し。天下の老大知識をも輕賤し。甚しき
J18_0347B26: は我宗祖大師をも。今時の發心者同前におもふもの
J18_0347B27: あり。悲しきことなり。我宗は格外の別風あること
J18_0347B28: を知りて。ただ一開永不閉の旨をまもりて。その外
J18_0347B29: はいかやうとも。念佛のまうさるるやうにはからひ
J18_0347B30: たるうへに。佛法の通規に依凖し。我家の相傳を守
J18_0347B31: りて。かたく禁戒を護持すべきなり。
J18_0347B32: 又云。今時頑愚なる律僧なんどの。官僧を讎敵のご
J18_0347B33: とくにぐめるもの多し。此輩は宮門跡方。法親王な
J18_0347B34: んどをも。持戒淸淨の小戒比丘になしたく思ふなり。

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