浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0347A01: | に入りて。みづから刀もて身肉を解き。心を割てこ |
J18_0347A02: | れをささげ。西にむかいて遷化せられしこと。續高 |
J18_0347A03: | 僧傳に見えたり。今時これほどの志はおこるべから |
J18_0347A04: | ずといへども。古人護法の大志をみて。我氣ぎたな |
J18_0347A05: | き心をばはづべきなり。 |
J18_0347A06: | 又云。宋の宣宗皇帝の時。安國寺の沙門修會といふ |
J18_0347A07: | もの。詩をよくして帝の寵遇を蒙れり。あるとき紫 |
J18_0347A08: | 衣を賜らんことをのぞみしかば。汝に於て吝まずと |
J18_0347A09: | いへども。しかれども相にかくることあり。恐らく |
J18_0347A10: | は害あらんとの給しかども。修會しひてこひしか |
J18_0347A11: | ば。すなはち紫を賜ひしに。一夕たちまち死せりと |
J18_0347A12: | なん。されば人は己分をはかり。非分の望みを發さ |
J18_0347A13: | ず。ただたることを知りてたのしむべきなり。さて |
J18_0347A14: | また紫緋金襽衣等を賜へる。諸山の老尊宿は。皆宿 |
J18_0347A15: | 福深厚の果報故に。今生大法の梁柱とならせたまへ |
J18_0347A16: | るなれば。深く尊崇すべきなり。 |
J18_0347A17: | 又云。今時官僧といふもの。自己は無戒のやうにお |
J18_0347B18: | もひ。婬肉を斷ずるは。戒なることをわすれ。たま |
J18_0347B19: | たま律僧に對すれば。別なるもののやうに心得た |
J18_0347B20: | り。それゆゑに在俗のもの。官僧を見ること塵芥の |
J18_0347B21: | ごとし。たとひ持戒如法の僧にても。鼠色の法衣な |
J18_0347B22: | らでは無戒の看をなし。白眼にて見るなり。その律 |
J18_0347B23: | 僧といふものも。開遮持犯もくはしからず。見戒儀 |
J18_0347B24: | 命も知らずして。ただ晩食をやめたるのみにて。增 |
J18_0347B25: | 上慢心を發し。天下の老大知識をも輕賤し。甚しき |
J18_0347B26: | は我宗祖大師をも。今時の發心者同前におもふもの |
J18_0347B27: | あり。悲しきことなり。我宗は格外の別風あること |
J18_0347B28: | を知りて。ただ一開永不閉の旨をまもりて。その外 |
J18_0347B29: | はいかやうとも。念佛のまうさるるやうにはからひ |
J18_0347B30: | たるうへに。佛法の通規に依凖し。我家の相傳を守 |
J18_0347B31: | りて。かたく禁戒を護持すべきなり。 |
J18_0347B32: | 又云。今時頑愚なる律僧なんどの。官僧を讎敵のご |
J18_0347B33: | とくにぐめるもの多し。此輩は宮門跡方。法親王な |
J18_0347B34: | んどをも。持戒淸淨の小戒比丘になしたく思ふなり。 |