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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0346A01: の講錄筆記の類を見るに。學解も拔群に見えたり。
J18_0346A02: 此寺に住職せしその進山の日に。もとよりありし碁
J18_0346A03: 盤を見出し。庭前の石上にて斧をもて打破らんとせ
J18_0346A04: られしを。檀越何某見出て。何ごとし給ふぞととひし
J18_0346A05: かば。かやうの光陰を消却する破戒の具は。火にし
J18_0346A06: て功德を得るなりといはれしかば。かの俗我にたひ
J18_0346A07: 給へとて。強てもらひにけり。此一事にても出家情
J18_0346A08: を見るにたれり。されば弟子たふとけれども。師の
J18_0346A09: 半德にしかずといへり。先師はその門人にはぢざる
J18_0346A10: 心操なりしが。我にいたりては大に落くだりたり。
J18_0346A11: かやうに次第しだいに落ぶれゆくすゑは。破戒無慚の
J18_0346A12: ものとなりゆくべければ。解行ともに油斷すまじき
J18_0346A13: なり。ただ願くは藍よりいででますます靑く。水よ
J18_0346A14: り出てますますさむしといふ如くならば。師の遺德
J18_0346A15: をかかやかすのみかは。釋迦遺法の弟子にはぢざる
J18_0346A16: べきなり。
J18_0346A17: 又云。世の中の愚僧。その師のあやまてることをも
J18_0346B18: しらずして。ただ平に信じて。我師かくのごとし。
J18_0346B19: 我師かくのごとしと。何ごとにも。家醜をあぐるも
J18_0346B20: のあり。これ諺にいふ。贔負のひきたふしとやらん
J18_0346B21: にて。はづかしきことなり。師の非なるをしらば。
J18_0346B22: それをかざらずして。弟子たるものは。あらためた
J18_0346B23: だすべきこと勿論なり。しかれども。さまでもなき
J18_0346B24: ことにも。師にまさりたる風情にて。あらためだて
J18_0346B25: して。益なきことにほこるものは。またにくむべ
J18_0346B26: し。
J18_0346B27: 又云。佛書には。唯識論述記。儒書には。春秋左氏
J18_0346B28: 傳。此兩書本末を研究せば。大に惠解を生ずべし。
J18_0346B29: 數萬部之書の中。これを第一とすべしとおもふな
J18_0346B30: り。しかれどもその機によりて一槪にも心得べから
J18_0346B31: ずといへども。右二書の本末。意味深長なること
J18_0346B32: は。學て知ぬべし。
J18_0346B33: 又云。昔周武佛法を廢滅するの際。靜藹といふ僧。
J18_0346B34: 法を守ることあたはざるをかなしみ。太一山の錫谷

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