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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0343A01: なり。不學文盲なる人すくなし。このゆゑに。僧は
J18_0343A02: まづまさに學問すべし。無智の信心は多くは邪路に
J18_0343A03: はしる物なり。大覺璉和尚曰。歷觀前輩立身揚
J18_0343A04: 名於當世者。鮮不學問而成之矣と。小子等ふ
J18_0343A05: かくこれを思ふべし。
J18_0343A06: 又云。地獄のおそろしからぬは。眞の出家にあら
J18_0343A07: ず。眞の學道にあらず。皆これ外道なり。昔拔墜和
J18_0343A08: 尚。はやく發心して。常に三塗の苦を思ふて。日日
J18_0343A09: 怖畏を生ず。後出家修行大悟して。甲州鹽山に。向岳
J18_0343A10: 禪寺をたてて。會中の衲子一萬指にみつ。その常の
J18_0343A11: 法語にいはく。只地獄に落んことを深く恐るるを。
J18_0343A12: かしこき人とはいふなり。佛道に志のなきは。地獄の
J18_0343A13: かなしかるべきことをしらざる故なりといへり。近
J18_0343A14: 代駿河の白隱和尚も。七八歳の時。地獄の講説を聞
J18_0343A15: て。大怖畏を生じ。發心せられしこと。かの幼稚物
J18_0343A16: 語なんどに。くはしくみえたり。しかれば。ただま
J18_0343A17: づ地獄の恐るべきことを。常に觀ずべし。
J18_0343B18: 又云。草木の枯んとするにも。これに培ひ。これに
J18_0343B19: 水をそそげば。必ず繁茂するなり。人もかくのごと
J18_0343B20: し。養生をよくすれば。よはきものもすこやかに。
J18_0343B21: おとろへたるもさかんになるなり。こころもかくの
J18_0343B22: ごとし。よく鍊磨すれば。惡心も轉じて善心とな
J18_0343B23: り。邪念も翻じて正念になるなり。人木石にあら
J18_0343B24: ず。好めばおのづから發心すといへる。誠なること
J18_0343B25: なり。
J18_0343B26: 又云。天台大師曰。略知佛法大意。即須覺悟無
J18_0343B27: 常。懺悔行道。豈可馳逐不急之言と。此御語緊
J18_0343B28: 要なり。然るに大方學文する者は。修行にともし
J18_0343B29: く。修行するものは學文にともし。せめてよく因果
J18_0343B30: 報應の道理をわきまへ。又よく佛願深重の薀奧を知
J18_0343B31: るほどの學文は。たれもありたき事なり。さてそれ
J18_0343B32: よりはただ一向に。猒欣念佛をはげむべし。今時は
J18_0343B33: 未佛法の大意だもしらざるもの多ければ。正法は日
J18_0343B34: 日下衰するなり。後學かならず大志を激發すべし。

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