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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0341A01: に生れ給ふべしと。我こたへていはく。我素志西方
J18_0341A02: にあり。是をすてて何ぞ都率を願はんやと。婦人禮
J18_0341A03: 拜してさるとみて。夢さめたり。已上自筆のうつし
J18_0341A04: この外は。臨末夢中見佛の物がたり。さきにあぐる
J18_0341A05: がごとし。
J18_0341A06: 師の沒後。弟子等および歸依の輩。さまざまの感夢
J18_0341A07: 好相ありて。傳聞すといへども。たしかならざる
J18_0341A08: は。しるしもとどめず。ただそのただしきもの一二
J18_0341A09: 條を。錄してここにあぐ。
J18_0341A10: ある僧。夢に高山にのぼりて。深谷をのぞむに。餓
J18_0341A11: 鬼のごときもの夥しくあつまり。合掌念佛せり。あ
J18_0341A12: やしく思ひて。これをみるに。師かたはらなる巖上
J18_0341A13: に端坐して。念佛せらるるによりてなり。僧思へら
J18_0341A14: く。これ師の餓鬼道を化益し給ふならんと。僧もと
J18_0341A15: もに助音念佛するに。その聲我耳にいりてさめた
J18_0341A16: り。
J18_0341A17: ある僧夢に峨峨たる高山の麓瀧おち水淸くして幽邃
J18_0341B18: きはまりなし。かたはらに一の庵室あり。境界淸淨
J18_0341B19: にして。寂寞として人聲なし。師このうちに端坐し
J18_0341B20: て。經案にかかり。大乘經を讀誦せらるると見る。
J18_0341B21: ある僧。佛前にて看經しけるに。經案によりて暫く
J18_0341B22: まどろみしかば。師高聲に驚かし給ふ。その聲に氣
J18_0341B23: つきて。あふぎみれば。佛前に五色の雲涌出たり。
J18_0341B24: 此うちより韋駄天出現し給り。威嚴殊勝にて。たふ
J18_0341B25: ときことかぎりなし。これを拜するに。たちまちゆ
J18_0341B26: めさめたり。
J18_0341B27: 福井氏何某の夢に。師告ていはく。我平生の敎誡を
J18_0341B28: 忘れず。ただよく念佛すべし。かならず怠るべから
J18_0341B29: ずと。
J18_0341B30: ある尼僧夢に。師の墓所に參詣せしに。師巍然とし
J18_0341B31: て端坐し給へり。尼禮拜して問ふていはく。老師和
J18_0341B32: 尚なほましますやと。師微笑していはく。我常にあ
J18_0341B33: るのみと。また問しからば無生忍を得給ふかと。師
J18_0341B34: 答て曰く。しかなりと。さてねもごろに。念佛を勸

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