浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0337A01: | いたるをまつべしとて。本願念佛の功德を讃歎せら |
J18_0337A02: | るること。平日に倍せり。さて詠ずらく |
J18_0337A03: | 朝な夕なこころにかけしむらさきの |
J18_0337A04: | 雲のむかへはいまとなりけり |
J18_0337A05: | おのれ(隆圓)。さりがたき寺務ありて。今日看侍する |
J18_0337A06: | ことあたはず。このゆゑに師にまうして。寺に歸る |
J18_0337A07: | 時。師いはく。今夜もし變あらば。とく人をしてし |
J18_0337A08: | らしむべしはやく來りて。我臨終の念佛を助音すべ |
J18_0337A09: | し。さらば汝がために遺囑せん。只信心をふかくし |
J18_0337A10: | て。ひたすら念佛すべしと。合掌して十念を授けら |
J18_0337A11: | る。弟子拜受して思へらく。師おとろへ給ふといへ |
J18_0337A12: | ども正念明了なり。なかなか今明日なんど遷化し給 |
J18_0337A13: | ふことはあらじと。このゆゑに。退て歸寺せるな |
J18_0337A14: | り。後に思へば。今生の相見これをかぎりにて。今 |
J18_0337A15: | 夜變あらばとの給ひしも師はその臨末を。知り給ひ |
J18_0337A16: | しにやと覺えて。たふとくも。かなしくも侍るぞか |
J18_0337A17: | し。 |
J18_0337B18: | 今日師の疾大にこころよく。念佛のいとまには。何く |
J18_0337B19: | れとものがたりてあられしが。未の刻ばかり。來り |
J18_0337B20: | てしひて拜謁をこふ人あり。日頃志ふかき淨業者な |
J18_0337B21: | りければ。師相見してさてつげていはく。勇進念佛 |
J18_0337B22: | するはただ平生のことなり。病をもく身疲るるにい |
J18_0337B23: | たりては。心勇猛なれども。口稱大にかたし。ただ |
J18_0337B24: | 強健有力のとき臨終の思ひをなして。つとめて念佛 |
J18_0337B25: | すべしと。なほかつ安心の要義をとき示さるるこ |
J18_0337B26: | と。平日のごとし。かの人信受奉行し。十念を拜受 |
J18_0337B27: | して退く。 |
J18_0337B28: | 日沒の頃。顏色俄に變じ。身體自在ならず。師たち |
J18_0337B29: | まち西方阿彌陀佛の像に向ひ。跪坐して寂然として |
J18_0337B30: | 見えければ。弟子等しづかに念佛するに。師微音に |
J18_0337B31: | ていはく。今か正命終なり。今が正命終なり。いまが |
J18_0337B32: | 正命終なりと。大察かたへによりていはく。師一大 |
J18_0337B33: | 事の時いたれり。化佛菩薩尋聲到。つとめて失念し |
J18_0337B34: | 給ふことなかれと。師點頭して手を出して。ものを |