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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0336A01: 長門。法岸和尚の門人也といふ僧を師資の盟約をなして。かの寺
J18_0336A02: に住持せんことを囑して。すなはち惣本山に聞し
J18_0336A03: て。その許命をうく。
J18_0336A04: 十月十五日より。病を問來る道俗。もしは老。若は
J18_0336A05: 少。一人一人對機勸誡至切にして。おのおの永訣を
J18_0336A06: のべらるるに。孝悌忠恕。仁義五常の道より。出離
J18_0336A07: 生死。凡入報土の大法にいたるまで。その意樂をし
J18_0336A08: めし。その心行を演説せらるるに。疲れを忘れたる
J18_0336A09: がごとし。きくもの皆涙をながし。見る人悉く。奇
J18_0336A10: 特の思ひをなす。
J18_0336A11: 同月廿五日。弟子等にむかひて遺囑すらく。わが沒
J18_0336A12: 後もはらさきに記せし。遺訓をもて龜鏡とせよ。若
J18_0336A13: よくこれに順ずるは。我心に順ずるなり。汝等。た
J18_0336A14: がひに我情をいだくことなく。同入和合して。如法相
J18_0336A15: 續せば。我世に住すると異なることなし。我既に命
J18_0336A16: 終に臨まんとせば。汝等かはるがはる念佛して。我を
J18_0336A17: して失念せしむることなかれ。さて終りなば。常にい
J18_0336B18: へるがごとく。ひそかに陶器にもりて。此寺境に葬
J18_0336B19: るべし。葬式を花麗にすべからず。墳墓を嚴重にす
J18_0336B20: べからずなど。くれくれをしへさとして後。臨終道
J18_0336B21: 塲を料理し。不斷念佛を始行す。これより門人の
J18_0336B22: 外。他の人に相見せらるることなし。ただ病をつと
J18_0336B23: めて。口稱念佛するのみなりき。
J18_0336B24: 十一月十七日より。不食の所勞おのづから治して。
J18_0336B25: 飮食せらるるといへども。老病久しく。身體疲るる
J18_0336B26: がゆゑに。たのみすくなく見え給へり。廿一日の
J18_0336B27: 曉。大雪ふれり廿二日弟子等に。示していはく。我
J18_0336B28: 多年の本願を信じ。自行化他ただ念佛すること。汝等
J18_0336B29: がよく知るところなり。生涯ここにせまりて。平生
J18_0336B30: の念佛。大に益あることますます信得及す。此頃夢
J18_0336B31: 中に。阿彌陀佛の眞金色身。相好光明徹照無比なる
J18_0336B32: を拜瞻し奉る。夢見彼佛亦得往生。何ぞ虚妄なら
J18_0336B33: ん。來迎引接。蓮花初開樂。時既に至れり。あにた
J18_0336B34: のしからずや。汝等も平生よくよく念佛して。時の

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