浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0336A01: | 長門。法岸和尚の門人也といふ僧を師資の盟約をなして。かの寺 |
J18_0336A02: | に住持せんことを囑して。すなはち惣本山に聞し |
J18_0336A03: | て。その許命をうく。 |
J18_0336A04: | 十月十五日より。病を問來る道俗。もしは老。若は |
J18_0336A05: | 少。一人一人對機勸誡至切にして。おのおの永訣を |
J18_0336A06: | のべらるるに。孝悌忠恕。仁義五常の道より。出離 |
J18_0336A07: | 生死。凡入報土の大法にいたるまで。その意樂をし |
J18_0336A08: | めし。その心行を演説せらるるに。疲れを忘れたる |
J18_0336A09: | がごとし。きくもの皆涙をながし。見る人悉く。奇 |
J18_0336A10: | 特の思ひをなす。 |
J18_0336A11: | 同月廿五日。弟子等にむかひて遺囑すらく。わが沒 |
J18_0336A12: | 後もはらさきに記せし。遺訓をもて龜鏡とせよ。若 |
J18_0336A13: | よくこれに順ずるは。我心に順ずるなり。汝等。た |
J18_0336A14: | がひに我情をいだくことなく。同入和合して。如法相 |
J18_0336A15: | 續せば。我世に住すると異なることなし。我既に命 |
J18_0336A16: | 終に臨まんとせば。汝等かはるがはる念佛して。我を |
J18_0336A17: | して失念せしむることなかれ。さて終りなば。常にい |
J18_0336B18: | へるがごとく。ひそかに陶器にもりて。此寺境に葬 |
J18_0336B19: | るべし。葬式を花麗にすべからず。墳墓を嚴重にす |
J18_0336B20: | べからずなど。くれくれをしへさとして後。臨終道 |
J18_0336B21: | 塲を料理し。不斷念佛を始行す。これより門人の |
J18_0336B22: | 外。他の人に相見せらるることなし。ただ病をつと |
J18_0336B23: | めて。口稱念佛するのみなりき。 |
J18_0336B24: | 十一月十七日より。不食の所勞おのづから治して。 |
J18_0336B25: | 飮食せらるるといへども。老病久しく。身體疲るる |
J18_0336B26: | がゆゑに。たのみすくなく見え給へり。廿一日の |
J18_0336B27: | 曉。大雪ふれり廿二日弟子等に。示していはく。我 |
J18_0336B28: | 多年の本願を信じ。自行化他ただ念佛すること。汝等 |
J18_0336B29: | がよく知るところなり。生涯ここにせまりて。平生 |
J18_0336B30: | の念佛。大に益あることますます信得及す。此頃夢 |
J18_0336B31: | 中に。阿彌陀佛の眞金色身。相好光明徹照無比なる |
J18_0336B32: | を拜瞻し奉る。夢見彼佛亦得往生。何ぞ虚妄なら |
J18_0336B33: | ん。來迎引接。蓮花初開樂。時既に至れり。あにた |
J18_0336B34: | のしからずや。汝等も平生よくよく念佛して。時の |