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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0335A01: 師隱居の後は。ただ籌室に靜坐して。ひたすら念佛
J18_0335A02: し。いとまあれば讀書して自適せらるるのみ。春日
J18_0335A03: 秋夜にも。遊山翫水にいづることなく。法眷親友とい
J18_0335A04: へども。寒處の安否をとはず。我如已死了といへ
J18_0335A05: る。古賢の操行にも比すべし。しかれども弟子等が
J18_0335A06: ためには。三部經。維摩經等を講じ。たづねいたる
J18_0335A07: 道俗には。宗要を擧唱し。專修を弘通すること。平昔
J18_0335A08: にまされり。またその信施を得ることあれば。悉く修
J18_0335A09: 造の料にあてらる。これによりて。ここもまた。佛
J18_0335A10: 殿方丈庫裡。のこるところなく一新せり。更に資財
J18_0335A11: を附して。常燈明をかかぐ。
J18_0335A12: 同十一年乙未十月。貞極上人住持訓の善本を閲して
J18_0335A13: 大に隨喜し。これにならふて。遺訓二十餘條をしる
J18_0335A14: して。續住持訓と題して。弟子等にさづけらる。
J18_0335A15: 同十二年。庚申のはる。居を智惠光院に移して。不
J18_0335A16: 食の所勞あり。起居例ならずみへしかば。弟子等お
J18_0335A17: のおの。誠をつくしていたはり。醫藥をゑらぶとい
J18_0335B18: へども。さらにその功驗なし。師みづから起べから
J18_0335B19: さるを知り。大願を發し。やまひをつとめて。諸大
J18_0335B20: 乘經を展閲す。これ般若の種子を倍增し。即悟無生
J18_0335B21: の資糧とせんとなり。侍者その勞をいたはり。これ
J18_0335B22: をとどめんとすれども。師さらに肯せず。壯氣尋常
J18_0335B23: に倍するが如し。
J18_0335B24: 秋八月。病ますますふかし。師みづから。日課念佛
J18_0335B25: 勸導の法語を校正し。投宿編と題して。安心起行の
J18_0335B26: 要義をのぶ。
J18_0335B27: 今年七月九日。但州來迎寺類燒せしむね告來れり。
J18_0335B28: 佛殿僧坊悉く烏有して。ただ昔日。師の營造せる。
J18_0335B29: 經藏のみ殘れりと。師慨歎していはく。我身死にな
J18_0335B30: んなんとして。師席も灰燼に屬す。夢幻の三界。火
J18_0335B31: 宅の依正いづれの所にか常住の思ひをなさん。しか
J18_0335B32: れども幸に佛像經卷の焚燒せざるは。我法の滅せざ
J18_0335B33: るならんかと。悲喜こもごもなり。しかるにかの寺
J18_0335B34: 主法譽上人。ついで命過せらるるがゆゑに。師法洲

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