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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0334A01: 嘉明朝臣の造立にして。平安十九箇寺の隨一なりと
J18_0334A02: いへども。近來の住僧各多病にして。堂舍大破し。
J18_0334A03: 負債山のごとく。諸什寶欠減せり。師これをなげ
J18_0334A04: き。衣食の分をはぶき。檀越とはかりて。負債を償
J18_0334A05: ひ。什具を修繕し。佛殿僧坊を修復し。いまだ三年
J18_0334A06: を滿ざるに。寺舊觀にふくしけり。またさらに資財
J18_0334A07: をつのりて。燃燈續明せらる。
J18_0334A08: 毎月八日般舟會をたてて。道俗を導く。華頂日勤の
J18_0334A09: 身。寸暇なしといへども。二利の大願。しばらくも
J18_0334A10: たゆむことなし。
J18_0334A11: 同五年癸丑。師年六十。病をもて華頂都鑑の職を辭
J18_0334A12: す。五言長篇の詩をつくりて。その志をのぶ。中
J18_0334A13: に。飽醉四倒酒。懶掬一乘泉。といふ句あり。
J18_0334A14: 在職前後十年執政私なく。公務益深し。山主これを
J18_0334A15: 惜み給ひ。同列しひてとどむれども。辭すること再
J18_0334A16: 三。遂に職を解て。素志を遂られける。
J18_0334A17: 同六年甲寅正月。師年六十一。華頂山御忌。當日の
J18_0334B18: 導師を勤む。此夜病あり。師必死の思ひありしが兩
J18_0334B19: 三日を經て。おのづから治せり。今年世にいふ。華
J18_0334B20: 甲なればとて。鴨川に於て。非人に食を施して。日
J18_0334B21: 課念佛をすすめらるること三夜なりき。同年四月八日
J18_0334B22: みづから筆をとりて。日課念佛勸導の法語をつづ
J18_0334B23: り。これを一紙にしるし。梓にゑりて。印施せらる
J18_0334B24: ること。およそ一萬枚に餘れり。まだみづから有縁
J18_0334B25: の檀越にいたり。此むねをしめして日課を授與す。こ
J18_0334B26: れによりて。發心念佛するものもとも多し。
J18_0334B27: 同八年丙辰十月十五日。佛殿にて晨朝の勤行をはり
J18_0334B28: て。侍者をして草鞋をとらしめ。忽然として退院せ
J18_0334B29: らる。弟子等驚て。それ居所をもとむるに。一條大
J18_0334B30: 超寺の中にかくる。かの寺主義幢は。師の弟子なれ
J18_0334B31: ば也。かくておのおのたづねいたりて。歸住をすす
J18_0334B32: むれども。うけがはず。この故に十二月朔日。弟子
J18_0334B33: 隆圓。小野回向院をしりぞき。華頂に聞して。專念
J18_0334B34: 寺の席を補す。

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