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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0332A01: て。近隣晴雲寺にかくる。打座念佛して。松風を友
J18_0332A02: とし。心境不二。寂靜に覺へられしかば。おもひを
J18_0332A03: のべらる。
J18_0332A04: 禪房遁跡晝沈沈。一鉢自無世事侵。閑坐唯聞松栢
J18_0332A05: 裏。風聲全是海潮音。
J18_0332A06: 弟子ならびに檀越等。驚きしばしば來りて。歸住を
J18_0332A07: こふ。師いまだ幽居の情を遂べき。時いたらざること
J18_0332A08: を知りて。こころざしをまげて。歸住せられけり。
J18_0332A09: 安永七年戊戌。師年四十五。たちまち寺職を辭して
J18_0332A10: 洛にのぼり。二利增進せんことをはかり。時華頂山
J18_0332A11: 貞現大僧正。僧に命じて曰く。御身はただひとり。
J18_0332A12: 往生する人にはあらず。さらば宜しく幽居念佛せん
J18_0332A13: よりは。一寺に住して化他の利益を廣からしめんこ
J18_0332A14: とをすすめたまひ。幸ひ智惠光院に住せしめんと仰
J18_0332A15: せ給ひしかば。入信院專達上人。福田寺運洲上人
J18_0332A16: 等。皆これ師の舊識なるをもて。おなじく勸誘せら
J18_0332A17: れしゆゑ。師辭するにところなく。同年十一月。大
J18_0332B18: 僧正の命を奉して。かの寺に住せらる。中興より二
J18_0332B19: 十世なり。
J18_0332B20: 同八年己亥四月。貞現大僧正を拜して。ふたたび一
J18_0332B21: 宗の秘璽を相承せらる。これ宗祖の遺蹤をたふと
J18_0332B22: み。吉水の淵源を崇れば也。
J18_0332B23: 師毎晨寅の上刻に起出て。佛殿にて高聲に念佛し。
J18_0332B24: 天明にいたる。小食の後。衆のために儒書を講習
J18_0332B25: し。正午の勤行をはりて。また宗敎を披講し。夜は
J18_0332B26: 日沒より人定にいたるまて高聲念佛誓て怠らず。毎
J18_0332B27: 月十日。廿六日の兩日は。蓮社をたてて僧俗を會し
J18_0332B28: 專修念佛す。二季の彼岸。十夜會等には。説法勸誡
J18_0332B29: す。道俗歸崇すること。水のひききに下るがごと
J18_0332B30: く。安心を相承し。菩薩戒を受得し。課佛を誓約す
J18_0332B31: るもの甚多し。その中臨終正念に。往生の素懷を遂
J18_0332B32: たるもの別記のごとし。
J18_0332B33: 天明二年壬寅八月廿二日。華頂山惣門中の選擧によ
J18_0332B34: りて。六都鑑の闕を補せんことを命ぜらる。時の山

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