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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0331A01: はかり。惣本山に聞す。師もとより。烟霞をしの
J18_0331A02: ぎ。百城をめぐりて。惠解を倍增するの素志にたが
J18_0331A03: ふといへども。師命辭するに所なく。遂に同年五月
J18_0331A04: 九日。洛にのぼり。華頂山主の命を奉して。師跡を
J18_0331A05: 補す。開山より二十二世なり。これよりさき。閲藏
J18_0331A06: の大願を發し。寺務の外。寢食を廢して。孜孜とし
J18_0331A07: て怠らず。また此寺に全藏を安置し。正法久住の基
J18_0331A08: 本とせんことをはかり。住職の後。あまねく縁をつ
J18_0331A09: のられしかば。ほどなく報恩藏五間に三間なりを經營す。こ
J18_0331A10: のゆゑに。黄檗山の印本を請じて。安置供養せら
J18_0331A11: る。
J18_0331A12: 明和六年己丑。師年三十七。大藏全閲の功終る。さ
J18_0331A13: れば。自力修行のたやすからず。他方易行の功すぐ
J18_0331A14: れたることも。ますます明らかなりければ。是より
J18_0331A15: 後。あらたに淸規を製して。衆を攝得し。自行化
J18_0331A16: 他。ただ專修念佛の一行のみ。いりては長時の日課
J18_0331A17: 三萬遍。時時の勤行禮誦。誓て怠らず。いでては宗
J18_0331B18: 要を擧唱して。道俗を勸誡す。これによりて日課念
J18_0331B19: 佛を誓約するもの。あげてかぞふべからず。當時丹
J18_0331B20: 後峰山の靈源惠桃長老白隱和尚の門人後洛西嵯峨鹿王院に住せり但馬豐岡の
J18_0331B21: 佛定和尚と稱して。時人禪淨の龍虎とす又此地養源
J18_0331B22: 寺天産靈苗禪師と師を對揚して豐岡の二傑と稱して
J18_0331B23: 人皆信敎せり。
J18_0331B24: 師來迎寺に住して。佛殿を修復し。僧坊淨厨を造營
J18_0331B25: す。その功もとも多し。
J18_0331B26: 明和八年辛卯八月廿九日。師の父病て命終せらる。
J18_0331B27: 雲山淨慶禪士と號す。同年十二月十七日。師範瑞泰
J18_0331B28: 寺戒譽和尚も。疾にかかりて遷化し給へり。師秋と
J18_0331B29: 冬とに父と師をうしなひ。月をかこち雪をうらみ
J18_0331B30: て。嘆惜の情にたえず。心をつくして。追孝のいと
J18_0331B31: なみ。いとねもごろなりき。
J18_0331B32: 安永三年甲午。師年四十一。化他の自行に害あるこ
J18_0331B33: と。古人といへどもなほ病ることを思ひはかり。一朝
J18_0331B34: 俄然として杖鉢をたづさへ。ひそかに寺をのがれ

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