浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0330A01: | 念をつぐことなし。身心安逸にして。今世後世。怖畏 |
J18_0330A02: | の念をのぞく。和漢古今女色のために身心を喪し。 |
J18_0330A03: | 國家をうしなふものあげてかぞふべからず。このゆ |
J18_0330A04: | ゑに。世俗の君子これをいましめて。伐性の斧と |
J18_0330A05: | す。况や我解脱の道。若婬を斷ぜずんば。多智禪定 |
J18_0330A06: | 現前すとも。ただこれ魔業のみ。師もよく愼て。み |
J18_0330A07: | づからあざむくことなかれと。およそ此禪師とまじ |
J18_0330A08: | はりて。得益のこともとも深かりしとて。善惡とも |
J18_0330A09: | に。友による事をかたりまうされき。 |
J18_0330A10: | 師一年。富士山にのぼり。朝日の出るにむかひ高聲 |
J18_0330A11: | 念佛せられしが。ふりかへりみれば。絶頂に金色の |
J18_0330A12: | 三尊顯現し給ひしが。そのまま雲のやうにきえかく |
J18_0330A13: | れ給へり。師これを拜して。身心爽朗なることを覺 |
J18_0330A14: | え。たふとくありがたくて。ただはじめより朝日に |
J18_0330A15: | むかはずして。山上を拜すべきものをとて。後悔せ |
J18_0330A16: | られたり。さて山をくだるに兩人の俗士ありて。一 |
J18_0330A17: | 人がいはく。今朝三尊の來迎を拜せしかども。おそ |
J18_0330B18: | く拜み奉りて。相好分明ならざりきなンど。かたる |
J18_0330B19: | をきくに。またく師とおなじかりければ。ふたた |
J18_0330B20: | び。かの三尊を拜するここちして。たふとかりしと |
J18_0330B21: | なん。按るに。かの山にて。朝日の出るを來迎と稱するは。毎曉この瑞あればにや。しかるに朝日のかたを拜して。山上を |
J18_0330B22: | 拜することをしらず。隆圓かの山にのぼりて。ただ朝日を拜して。その來迎といふ由縁をしらずとまうせしきとき。師ひそかに此こと |
J18_0330B23: | をかたり給ひけり。思ふにたとひはじめふり。山上を拜すとも。衆人此瑞をみるにはあらさるべし。その人にふること勿論なり。 |
J18_0330B24: | 師しばしば宣達律師の許にいたり。戒律の要義を研 |
J18_0330B25: | 究す。律師師をして入律せしめんことを。はかり給 |
J18_0330B26: | ひしかども。古郷の本師老衰なりければ。孝養を廢 |
J18_0330B27: | せんことを恐れ。また別に思願せらるる意樂もあり |
J18_0330B28: | ければ。かの命にしたがはず。遂に明和二年乙酉 |
J18_0330B29: | 夏。但州に歸らる。宗例によりて。洛にいたり。賜 |
J18_0330B30: | 香上人の 綸旨を拜受せらる。時年三十貳。同年七 |
J18_0330B31: | 月十四日なりき。 |
J18_0330B32: | 同四年丁亥春。師範戒譽和尚。豐岡城主京極甲斐侯 |
J18_0330B33: | の請に應じて。同所瑞泰寺に轉住せらる。このゆゑ |
J18_0330B34: | に師をして。來迎寺の補處たらしめんことを檀越に |