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J2740 仏定和尚行業記 大察・隆円 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0328A01: 尚師の法器なることを知りて。道愛もともふかし。
J18_0328A02: 師世縁を放下し。塵務を厭捨し。若は學。若は行。
J18_0328A03: 孜孜として寸陰を惜み。むなしく日を送り。いたづ
J18_0328A04: らに夜を明さるることなし。このゆゑに儕輩怖畏敬
J18_0328A05: 崇して。大阿羅漢と稱す。遂に三心五念の寶玉をみ
J18_0328A06: がき。一向專修の利劒を得られしかば。同六年丙子
J18_0328A07: 冬。山主成譽大雲大和尚を拜して。五重の秘决を相
J18_0328A08: 承せらる。抑此大僧正は。顯譽祐天大僧正の法嗣に
J18_0328A09: して。解高く行秀で三國傳來の秘賾は。大悲本懷の
J18_0328A10: 密意をさとり。圓頓菩薩の大戒は。吉水禀承の深奧
J18_0328A11: を得玉へり。誠に淨家拔群の尊宿。圓戒中興の大士
J18_0328A12: なり。師かかる大善知識に嗣法し給ふも。少縁のこ
J18_0328A13: とにはあらじかし。このゆゑに。ことさらに入壇受
J18_0328A14: 戒せられけりその後。いくほどなく。大僧正遷化し
J18_0328A15: 給ひければ。妙譽定月大僧正進山し給ひ。その法を
J18_0328A16: 傳持して。ますます法燈をかかげたまひけり。同十
J18_0328A17: 年庚辰冬十一月。妙譽大僧正を拜して宗脉を禀承
J18_0328B18: し。圓戒傳授の許可を蒙らるこれよりさき。己卯冬
J18_0328B19: 十一月。惠照院戒陣和上を拜して。菩薩戒を重受
J18_0328B20: し。大小二乘の戒學を研究せらる。
J18_0328B21: 師解行既に成じ。傳法傳戒こと終りにしかば。同十
J18_0328B22: 一年辛巳冬。但州に歸省す。時に母公病あり。師舊
J18_0328B23: 里に歸り看侍心を盡して。醫藥をすすめ。さまざま
J18_0328B24: 敎養し給ひしかども。そのかひなかりしかば。母公
J18_0328B25: みづから必死の思ひに住し。師を知識として十一月
J18_0328B26: 十日。正念に安住して。吉祥に命終し給へり。月澗
J18_0328B27: 智晴大姉と號す。師哀毀禮に過ぎ。追孝心を盡して
J18_0328B28: 勤修せらる。これより師範の和尚に。奉事せらるる
J18_0328B29: こと一年ばかり。後ふたたび江戸にいたり。圓宣和
J18_0328B30: 後增上寺に住し。大僧正に任ぜらるの室にいりて。正には性相の學をつ
J18_0328B31: とめ。傍には倫獨二道の神道を學ぶ。法華經を長崎
J18_0328B32: の大雲法師にきき。華嚴經を。長泉の德門律師にき
J18_0328B33: けり。また服仲英の門に遊んで。外典を精究せらる。
J18_0328B34: その頃洞家の英衲面山禪師。靑松寺に來りて海衆を

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