浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0319A01: | らん。佛言。勿得隨心所欲。虧負經戒。在人 |
J18_0319A02: | 後也。と深く心腑に銘じて忘るることなかれ |
J18_0319A03: | 師の文章詩偈は。幻雲稿と題して。別在す。頗る和 |
J18_0319A04: | 歌をも好まれしかば。在京の日和歌者流の徒にもま |
J18_0319A05: | みえし人ありとなん。今いささか爰にしるし加ふ |
J18_0319A06: | 念四坊といふ遁世者。頗る風流の法子にて。行脚に |
J18_0319A07: | 出る時。笈の内の本尊にとて。短册に六字名號を小 |
J18_0319A08: | 松溪義柳上人の染筆を乞てもちいたりしが。その脇 |
J18_0319A09: | に染筆を乞ければ。歌一首上下の句を左右にわかち |
J18_0319A10: | て書給ふ。 |
J18_0319A11: | 授るもうくるもともに南無阿彌陀 |
J18_0319A12: | ほとけのちかひへだてなければ |
J18_0319A13: | 又その時。念四坊念佛をまうさんとすれどもまうす |
J18_0319A14: | 心の發らぬをいかがせましと問けるに。答られし法 |
J18_0319A15: | 語にいはく。 |
J18_0319A16: | 念佛をまうす心のおこりたらば我も申さめ。さる心 |
J18_0319A17: | のおこらぬ故に。申さぬとはあやまり也。世間出世 |
J18_0319B18: | の善事。何事もしひてつとむるにてこそ。やむこと |
J18_0319B19: | を得ぬ塲にもいたるなれば。ただしひてつとめよか |
J18_0319B20: | しとかく |
J18_0319B21: | こころしてひけばこそなれ露ふかき |
J18_0319B22: | 秋の山田にかくるなるこも |
J18_0319B23: | 山本何某自得の歌なりとて「ありとみれはやかてう |
J18_0319B24: | つろふ水の月。なしと思へば底に澄つつ」 |
J18_0319B25: | と聞えしかば。師かへし |
J18_0319B26: | ありといひなしとおもふて水の泡 |
J18_0319B27: | きえていづこに月は住べき |
J18_0319B28: | 「明はてて見ればひかりは跡もなし夜すがらめでし |
J18_0319B29: | いさよひの月 |
J18_0319B30: | あともなきそらの光りを尋てそ |
J18_0319B31: | こころの月の影はしるべし |
J18_0319B32: | 「ともすればになひし桶の底ぬけて風より外に何を |
J18_0319B33: | いればや」 |
J18_0319B34: | ぬけはてて何もたまらぬ桶の底に |