浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0317A01: | ふものあり。生質浮世の榮耀をいとひ。佛門の淸閑 |
J18_0317A02: | をしたひける。さるから佛神三寶の感應冥加。不可 |
J18_0317A03: | 思議の奇瑞を蒙れること多し。そのことは別記あれ |
J18_0317A04: | ば爰にははぶく。此女。後に師に從ひ剃髮して心譽 |
J18_0317A05: | 慈眼と名く。此尼麥藁をもて佛ぼさつの像を造事に |
J18_0317A06: | 尤妙を得たり。人皆今時の中將姬と稱せり。師かの |
J18_0317A07: | 尼に命して汝中將法如尼に習ひて。淨土の變相を造 |
J18_0317A08: | るべしとて。淸海曼陀羅を見せ給ひければ。慈眼。 |
J18_0317A09: | 意を刻み思ひを苦めて。麥わらをもて佛菩薩。寶樹 |
J18_0317A10: | 寶樓等。種種の形を造りこれを縮緬のうへにはり附 |
J18_0317A11: | て。遂に三年の星霜を經て。其功を成就せり。その |
J18_0317A12: | 諸相端嚴精細巧妙なる事。凡手になれるものとは見 |
J18_0317A13: | へず。眞に奇特といふべし。今現に我光明院の寶庫 |
J18_0317A14: | に珍藏して。實に希代の靈寶也 |
J18_0317A15: | 學士莊海諸國行脚の時。暫く加祐軒に留錫せり。師 |
J18_0317A16: | にむかひて。おのれ學業增進の志あれども。晩學に |
J18_0317A17: | て覺束なしとまうしければ。汝が年いくぞと問給ふ |
J18_0317B18: | 故。二十三なりと答しかば。師顏色をただして。我 |
J18_0317B19: | 六十に餘るといへども。老てますます盛んに。なほ |
J18_0317B20: | 日新の志あり死門に臨まで此志誓て怠慢せざるべ |
J18_0317B21: | し。汝漸く二十三。何ぞさやうに〓墮柔弱なるや |
J18_0317B22: | と。はげしく呵責せられてその勇猛強盛の勢に。莊 |
J18_0317B23: | 海惣身熱汗を生じて深く慚愧せり。さて請益して。 |
J18_0317B24: | 數數法澤を蒙れり。と後にかたりて師の慈恩を感謝 |
J18_0317B25: | せられけり。此莊海。後に 台命を蒙り。蝦夷地。 |
J18_0317B26: | 佛法東漸の任を負て。大臼山善光寺の開祖となれ |
J18_0317B27: | り。伊勢。松阪。淸光寺。信冏上人。先に師に隨侍 |
J18_0317B28: | せられけり。ある時師かたりていはく。願生淨土の |
J18_0317B29: | 志操あるものにあらずんば。はじめより廢立爲正の |
J18_0317B30: | 法門などみだりに説べからず。愚俗に對しては。た |
J18_0317B31: | だまづ因果の道理を敎諭し。その信根を生ぜしめ |
J18_0317B32: | て。漸漸に引入して。願生淨土の志を發さしむべし |
J18_0317B33: | とかたり給ひき。師爲人に心を用ひられしこと。こ |
J18_0317B34: | れらにても察得すべし |